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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
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は一度も作ることのできなかった隙を作ることのできた十六夜。当然の流れでそのまま拳を突き出して、始めて一輝にまともな一撃を入れた。それでよろめいた一輝に対して十六夜はもう一撃入れようか考えたが、それを踏みとどまって一度下がる。ここまで行けた以上はできるところまで行き、可能なら勝ちたい。そのためにも慎重を期していくためにも、このままでは二撃目がどこから飛んでくるのか簡単に想像されてしまう。普通の相手ならともかく、一輝ではそれだけの情報で十分なのではないか。そんな考えから彼は音を立てずに短時間で移動し、真逆から攻撃をする。
が、しかし。その拳は一輝の手に阻まれた。
少なくとも子の二撃目まではいけると考えていた十六夜は目を見開き、一輝がまだ目を閉じているのを見て再び驚く。しかも、もう一度後ろに逃げようとしてもしっかりと握りこまれてしまっているので、逃げることもできない。今度はそこで十六夜が隙を作ってしまったために、一気に投げられる。
まだ目が見えないにもかかわらず、一輝は地面にたたきつけられて息を吐き出した十六夜の喉に手刀を当て、いつでもその首を落とすことが出来る体制となる。
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「これで俺の勝ち、だな」
「ああ、そうだなコンチクショウ」
心の底から悔しそうな声をあげた十六夜に対して、一輝は「ま、よくやっただろ」と一言だけ言って立ち上がる。そのまま手さぐりで倉庫の中からペットボトルを取り出して目を洗っていると、十六夜もその後ろで立ち上がる。
「ったく・・・まさか十六夜がこんな手を使ってくるとは。考えてもなかった」
「だからこそやったんだろうが。・・・結局、意味なかったみたいだけどな」
「意味なくはないだろ。俺に初めてまともな攻撃入れれたんだ」
その時点で意味がねえ、と十六夜はぼやく。自分よりも上にいる相手であるとはいえ、ここまで圧倒的では、ということだろう。
「それよりも、なんで今日はあんな手を使ってきたんだ?」
「別に・・・変なプライドは捨てることにしたんだよ。何を使ってでも、勝てるならそれで勝つ、ってな」
「・・・ふうん」
今度こそ、一輝は本気で感心する。一度の挫折を乗り越えただけでここまでの成長を見せるとはさすがに思っていなかったのだろう。
「つーわけで、これからは色々と試させてもらうぜ」
「それについては、まあご自由に、って感じだけどな・・・そうか、それなら」
一輝は少しの間上を向いて考え、そして十六夜を見る。
「なあ、その意志はもうしっかりとしてるか?」
「あー・・・まあ、俺らしくはないと思いながら、それでも迷わず実行できる程度には」
「ふむ・・・んじゃ、もう一つ。オマエ、なにか確固たる意志とかってある?」
「ああ、それはある」
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