4.アイツは人気者?
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に手慣れた口説きに周囲の職員の反応は様々だ。苦笑いする者もいれば呆れる者もいるし、中には既にリングアベルの事を気に入っているため「何よあの子ばっかりちやほやして!」とハンカチを噛んで悔しがる女性もいた。
この男、既にギルドでは良くも悪くも人気者である。
「……時に、いつの間にか俺の評判が随分変動しているようだな?この前まではちょっとばかり珍しい程度の注目だったと記憶しているが……」
「あ、それはアレでス。リングアベルってば昨日は12層でバグベアーを倒したらしいじゃないですカ!それを見てた人がいたんですヨ!」
バグベアーは大きな熊の魔物で、10層から現れるモンスターだそうだ。それまでの魔物に比べて遙かに大柄で耐久力もある為、今までもかなりの冒険者たちを屠ってきた初級冒険者の壁らしい。
ところがそれをぽっと出の初級冒険者が一撃で貫いていたのを、同じ層で活動していた誰かが見ていた。その人物が噂話を広げ、いつの間にかリングアベルは有名人になったという訳だ。
……女たらしとしては前から有名だったと言えなくもないが。
「ダンジョンじゃ初級者なのに強い人はアスタリスクの加護を得ている人が多ク、実力を鼻にかけて素行が悪いのが定番でしテ……神様の間ではそもそもクリスタル正教やアスタリスクを快く思っていない方も多からず少なからず存在しまス」
クリスタル正教は神を拠り所にしないし、神に頼らない。
クリスタルの象徴的加護と、アスタリスクの物理的加護。その二つがあれば神の恩恵がなくても人が生きていけるという在り方が一部の神は気に入らないのだ。自分たちをないがしろにしているとか、生意気だとか。狭量だとも思うが、神には身勝手な者が多いのが実情だった。
「大陸西部のラキア王国は今まで何度かオラリオに侵攻しては返り討ちにあっていますガ、エタルニアや正教は逆にオラリオから攻めたファミリアが返り討ちにあうのが通例デス。表だって対立してはいませんガ、その実アスタリスク持ちと恩恵持ちは思想的に互いを見下してるところがあるのは否定できまセン……」
「だからオラリオでアスタリスク持ちは総じて評判がよろしくない、と」
「アスタリスク持ちは背中に神聖文字がある訳でもないので見た目で判断がつきませんし、エタルニアや正教から脱退しても一度受けた加護は消えまセン。だから強い新人が現れるといつもこうなんデス」
これである程度は納得がいった。記憶がない以上アスタリスク持ちの疑惑にはイエスともノーとも答えられないが、そういう事なら時間が問題を解決してくれる筈だ。後は気になるもう一つのワード、『ウロボロス』についてだ。
気のせいでなければ、日記にそんな名前は存在しなかったと思う。
「ちなみに、『ウロボロス』って知ってるかい?」
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