4.アイツは人気者?
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その日、迷宮区4層に二人の新米冒険者の姿があった。
一人はモンスターに挑むように構え、もう一人はその彼をいつでもフォローできるような場所で槍を構えている。モンスターの名はウルフ。どの層にもそれなりの数がいる弱小モンスターだが、懐に入り込まれるとその噛みつきで大怪我を負いかねない相手だ。
『ヴルルルルルルル……』
「……………!」
低く唸り声を上げたウルフが身を屈めた。獲物に飛びかかる時のモーションだ。
生唾を呑み込んだ冒険者――ベルが前に出たのと、ウルフが跳躍したのはほぼ同時だった。
そして――決着。
「てやぁぁぁぁッ!!」
ベルは気合の籠った叫び声と共に、襲いかかってきたウルフをすれ違いざまに斬り裂いた。
『グガァァァァァァァッ!?』
致命傷だったのだろう。その一撃だけでウルフは絶命した。
彼は短剣という少々使いにくい武器を使用していたが、その反応速度は大したものだ。
「なんだ。ビクビクしてはいたけど結構やるじゃないか、ベル。これは俺がお守りにつく必要はなかったかもな」
「そ、そんなことないですよ〜!後ろにリングアベルさんがついてるって分かってるから落ち着けてるんです!」
余裕を感じさせる笑みで返答するベルの様子から察するに、割と余裕があるようだ。リングアベル自身この層の敵には全く脅威を感じなかったので、「やはり女神ヘスティアは過保護な所があるんだな」などとちょっとズレた事を考えていた。
初心者2人で4層というのは、周囲から見ればまだちょっと早いくらいのペースだ。しかもベルはこれがダンジョン潜り初日であり、リングアベルに至っては10層より更に下まで足を運んだことがある猛者。ハッキリ言って二人が順応しすぎなのだが、残念なことにそれを指摘する常識人がここにはいない。
Dの日記帳が正しければたぶんもうすぐ一人くらい来てくれるはずであるが、そんな事情はまだ知らないベルは安堵のため息とともに胸を撫で下ろす。もし碌に戦えなかったらどうしよう、という不安があったが、どうやら杞憂に終わったらしい。
「よかった。これならダンジョンでやっていけそうです!」
「そうか……分からない事があれば聞いてくれよ?わずか数日分とはいえ俺も先輩だからな。戦いの悩みから女性の口説き方まで、何でも相談するといい!」
「女性の口説き方って……リングアベルさんって、ひょっとしてモテたりします?なんか雰囲気からして女性慣れしてそうだとは思ってましたけど」
「ああ、そうだな……俺は言い寄られるんじゃなくて言い寄るタイプだが、それ程女性の交友は広くないな」
「え、そうなんですか?なんか意外だなぁ……」
「ああ……まだこの町のガールフレンドは40人くらいしかいない。この世界の半分が女性であること
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