sts 14 「謎の少女」
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お願い?
キャロから頼まれそうなことを考えてみるが、竜に関することは彼女の方が知っている。デバイスに関することも考えられるが、別に言うのを恥ずかしがることではないだろう。補助魔法の訓練という可能性は考えられるが、このタイミングで言うことでもない……。
他の可能性としては以前お菓子の差し入れをしたことがあったので今度また作ってほしい、というものが浮かんだ。しかし、キャロの口から出た言葉は全く別方向のものだった。
「あの……わ、わたしもお兄ちゃんって呼んじゃダメですか?」
「は? お兄ちゃん?」
「はい……ショウさんっていつも見守ってくれてる感じがして、それに褒めるときとか頭を撫でてくれるし。その、お兄ちゃんみたいな人いなかったから……」
フェイトのほうが見守ったり、褒めている気がするのだが……この場合はエリオの影響が強いのかもしれない。同い年の子が兄扱いしていたならば羨ましいと思ってもおかしくなのだから。
キャロのお願いを聞くとある人物がまた羨ましがったりへこんだりしそうだ。が、エリオに許可を出しているのに彼女には許可を出さない理由もない。おじさんだったら許可しなかったが。
「何だそんなことか、キャロがそう呼びたいのなら呼べばいいさ」
「本当ですか?」
「ああ、それと変に畏まった話し方しなくてもいいからな。そのほうが兄妹っぽいだろ?」
「うん、ありがとうお兄ちゃん」
実に嬉しそうな笑みを浮かべるキャロを見ると、こちらとしても嬉しく思う。エリオとの共通点が新しく出来たせいか、俺のことを話す彼女達の距離は若干だが縮まったように見える。今後のことを考えると良いことだろう……フェイトさんのことを考えなければ。
兄貴分がいるのがよほど嬉しいのか、キャロは必要以上にお兄ちゃんお兄ちゃんと呼んでくる。エリオもそれに触発されているのか、普段以上に兄さんと呼んでいる気がする。今の姿を知人に見られでもしたら何と言われるだろう――。
「ん? 覚えのある顔だと思えば夜月か」
――嫌なことを考えるとどうしてこのように現実になりやすいのだろうか。
話しかけてきたのはたった今すれ違った女性。長い黒髪に狼のように鋭い目、無駄のないすらりとした体をスーツで覆っている人物の名前は織原千夏。中学時代の担任である。
「久しぶりだな、元気そうで何より……私の記憶が正しければお前はそのような大きな子供がいる年ではなかったはずだが?」
「ええ、その認識で合ってます。この子達は今同じ部隊に居る俺の教え子みたいなものですよ。ここに来てる理由は、今日はオフになったので遊びに来ただけです」
「なるほど……確かに八神が自分の部隊を作ってお前達を集めたという話を以前耳にしたな」
地球に居たはずの織原先生がこの場に居て、当然のよう
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