sts 14 「謎の少女」
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識が変わったようだ。
ただそれでも恐怖は残っているのだろう。けれどそれでいい。それがあるからこそ、間違った方向に力を使わないのだから。きっとキャロは優れた竜使いになっていくことだろう。
「そっか、フリードみたいに紹介してもらえたら嬉しいんだけど……そんなに偉大な竜ならわざわざ来てもらって挨拶だけってわけにもいかないよね」
「うん、大きさも大きさだし。ヴォルテールの力を借りるのは本当に危険な時だけだから……でもいつか紹介するよ。フリードもエリオくんのこと本当の友達だと思ってるみたいだから、ヴォルテールともきっと仲良くできると思う」
「そっか、なら嬉しいな」
笑い合うふたりを見ていると、多少だが俺の存在が邪魔のように思えてきた。
10歳という年齢を考えるとフェイトの心配も分かる。だがしかし、エリオ達は魔法文化のある世界で育っていることを考えると、自分達だけで歩き回っても別に問題ないのではないだろうか。
……いや、だとしても今日は最後までちゃんと付き添う必要があるよな。急な仕事が入れば別だろうが、フェイトに頼まれて引き受けてしまっているわけだし。もしも何かあれば、彼女だけでなく他の隊長陣からも何か言われるだろう。
静かに気を引き締め直していると、ちょうど目的の駅に到着した。俺が一声掛けるとふたりは元気に返事をして、再度俺の手を握ってくる。
周囲の客から温かな視線を向けられている気がするが、俺はこんな大きな子供がいるような年齢ではない。言葉にはしないが、精神の安定のために心の内では言わせてもらう。
「……ん?」
のんびりと仲良く歩いていたのだが、不意に左手を違和感が襲う。俺の左手を握っているのはキャロなのだが、何やら顔を俯かせて落ち着きがない。
最初はこのように手を引かれたりすることに慣れていない。または握り心地が悪くて直しているのかとも思ったのだが、どうにも手の動かし方や握りの強弱からして違うようだ。
「キャロ、何か言いたいことでもあるのか?」
「え……えっと、その」
「キャロ、言いたいことがあるなら言っていいよ。行きたいところとかあったのなら僕は反対とかしないから」
「うん、ありがとう……でもそういうんじゃなくて」
どこかに行きたいわけではないとすると何なのだろうか。顔に赤みが差していることを考えると、言葉にするのが恥ずかしいのだろうとは思うが……雰囲気からしてトイレというわけでもなさそうだし、何か食べたいものでもあったのだろうか。
「えっと……やっぱりいいです」
「あのな、子供が遠慮とかするな。ダメなものはダメって言うが、即行で言うつもりもない。というか、俺はフェイトほど付き合いがないからな。言ってくれないと分からん」
「……その……ショウさんにお願いがあるんです」
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