第五十五話 最後の戦いその十二
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「これまでのことを許してくれとは言わないがさらばだ」
「ああ、じゃあな」
薊がその教授に応えた。
「さよならだな」
「これでね」
「考えてみたら初対面だったけれどな」
「そういえばそうだったね」
「けれどこれでな」
「お別れだよ」
こう告げてだ、そしてだった。
教授は伯爵にはだ、こう言った。
「また会おう」
「私とはそうなるね」
「結論が出たら卿の前に出るよ」
「その時は楽しく語ろう」
「ははは、そう言うのだね」
「友だからね」
それ故にというのだ。
「そうさせてもらうよ」
「そうか、ではね
「その時を楽しみにしている」
「私もそうさせてもらうよ」
伯爵とはこう話してだった、教授は。
少女達と伯爵に一礼して姿を消した、少女達は挨拶をしなかったが伯爵は一礼で返した。そうして後に残った面々は。
伯爵は少女達にだ、こう言った。
「ではね」
「ああ、終わったしな」
「帰ろう」
これが伯爵の少女達への言葉だった。
「皆の帰るべき場所にね」
「帰るべき場所か」
その言葉を聞いてだ、薊は。
まずは遠い目になった、それからだった。
静かな目になってだ、こう言った。
「日常ってやつだな」
「そうだよ、そこに帰ろう」
「何もない様でな」
こうも言うのだった。
「何でもある場所だな」
「そう、そこに帰るんだよ」
「裕香ちゃんも先輩達もいてな」
薊は暖かい目になってこうも言った。
「いい場所だな」
「ではそこにね」
「帰ろうか」
「お父さん達がいるね」
向日葵もにこりと笑って述べた。
「そこに戻ろう」
「そうしましょう、沢山y戦ったけれど」
菖蒲もだ、微笑んでいた。
「それも終わったから」
「このお屋敷を出てね」
菊も笑顔でいる。
「お家に帰ろう」
「ピクニックに行きましょう」
桜はこれを話に出した。
「私達皆で」
「お弁当を作って」
菫はそちらに話を移していた。
「皆で食べましょう」
「お握りがいいわね」
鈴蘭も見ていた、ピクニックに行く自分達を。
「食べるのは」
「作りましょう、皆で」
黒蘭はこう姉に言った。
「帰ってから」
「あたしお料理はな」
薊は料理についてはだ、残念そうな顔で言った。
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