第五十五話 最後の戦いその五
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「私が勝ってね」
「私が負ける」
「そうなるのよ」
既に勝利を確信している言葉だった。
「苦しまないから安心してね」
「その牙で」
ソレデスの口には牙がある、そこがプテラノドンとは違っていた。
「私の首筋を噛み切るというのね」
「この翼もよ」
その翼はというと。
「あまりにも速いからね」
「刃になるというのね」
「そうよ、だからね」
「一撃で私を倒せる」
「痛いのは一瞬よ」
まさにほんの、というのだ。
「だから安心してね」
「言うわね」
「自信があるからよ」
こう言えるというのだ、怪人は。
「こう言えるのよ」
「そういうことね、けれど私も勝つつもりだから」
今は攻撃をかわしているだけだが、だった。
向日葵の目は死んではいなかった、敗北と死を覚悟しているものでは。その目で最後の闘いを続けていた。
菖蒲はティロサウルスの怪人と闘っていた、怪人は恐竜の頭に人間の手足をいう姿だ。鰐の怪人に姿は似ている。
しかしだ、その攻撃は。
鰐の怪人よりも素早く激しい、牙や尾のそれが。
しかも跳ぶがその動きは水中を泳ぐ様だ、その攻撃をかわしつつだ。
菖蒲は冷静な目でだ、こう言った。
「ティロサウルスは海の恐竜だったわね」
「そうだ」
怪人も肯定する返事で答えた。
「本来は四つの足は全て鰭だ」
「その鰭を使って海中を泳いでいたわね」
「そうして獲物を捕らえていた」
「首長竜と並ぶ海の支配者だったわね」
「その俺が負けると思うか」
「思うわ」
ここでも冷静な声でだ、菖蒲は答えた。
「確実にね」
「虚栄か」
「虚栄ではないわ、無敵の存在はいないわ」
「例え恐竜でもか」
「そうよ、幾ら強大な存在でもね」
長きに渡って、それこそ人類のそれとは比較にならないまでに長くしかも地球の全てを支配した彼等でもだというのだ。
「無敵ではないのよ」
「俺が無敵でないのなら貴様もだが」
「そうよ」
その通りだとだ、菖蒲はまたしても冷静に答えた。
「そう言っておくわ」
「では倒してもらうか」
海中を泳ぐ様に攻めつつだ、怪人は笑ってさえみせた。
そうした攻防だった、それは激しいものだった。
菫の相手はトリケラトプスの怪人だった、怪人はその角を使い突進して来る、その勢いは戦車のそれの様だった。
菫はその突進を闘牛士の様にかわす、だが。
怪人はすぐに反転してまた来る、菫は再びかわすが。
攻められない、怪人はその菫に言った。
「逃げるだけだな」
「一撃でも受ければ」
菫は自分の武器の薙刀を両手に持って構えつつだ、怪人の角だけでなくその身体全体を見てこう述べた。
「それで終わりだから」
「貴様の身体ではな」
「ええ、終わるわ」
間違いなく
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