第五十五話 最後の戦いその四
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鈴蘭は怪人の長い首から来る牙をかわしつつだ、隣で戦う黒蘭に言った。
「恐竜はこの目で見たことがないけれど」
「それでもね」
「強いわね」
「ええ、これまで闘ってきた怪人達よりも」
「さらにね」
「強いわ」
黒蘭は怪人の尻尾、アンキロサウルスのそれの棍棒の様な一撃をかわしつつそうして姉に対してこう言った。
「今の一撃も」
「受ければね」
「かわすしかないわ」
若し防いでもというのだ。
「あまりにも重い一撃だから」
「そうだ、我々はだ」
「他の生きものとは違う」
怪人達もこう二人に言う。
「恐竜は長きに渡って地球を支配してきた」
「その力は他の生きもの達とは違う」
「そのことをよく理解することだ」
「恐竜の恐ろしさをな」
「そうね、これまでの相手とはね」
「全く違うわ」
二人もそのことを認めるしかなかった、闘ってそれがわかったからだ。
「この強さはね」
「そうそう簡単には勝てないわね」
「流石に最後の闘いだけあって」
「楽ではないわね」
「苦しまない様にはしてやる」
「弱者をいたぶる趣味はない」
恐竜の怪人達はそうしたことも言った。
「一撃でだ」
「貴様等との闘いを終わらせてやる」
こう言って二人への攻撃を続けるのだった、二人は今は怪人達の攻撃をかわすだけで精一杯であった。
それは菊も同じだった、上から来るプテラノドンの怪人に対して。
地にいてそして一撃離脱の攻撃をかわしていた、しかし。
それで精一杯だった、上に舞う怪人を見上げて苦々しげに言う。
「これまでの空を飛ぶ怪人とは違うわね」
「同じと思っていたか」
「いえ、恐竜だからね」
それでとだ、菊は怪人に答えた。
「そう簡単にはと思っていたわ」
「そうだな、私も違うのだよ」
「恐竜はね」
「鳥や虫とは違う」
そうした他の空を飛ぶ生きもの、その力を宿した怪人達とはというのだ。
「空の支配者なのだ」
「そこまでの強さね、確かに」
「だからだ、私に敗れることは屈辱でない」
それは当然のことだというのだ。
「私に敗れることは名誉なのだ」
「戦って敗れることが」
「そうだ、貴様の最後の闘いは名誉の闘いなのだ」
このことを告げてだった、怪人は菊に激しい空からの攻撃を続けていた。その菊の横でだった。向日葵は。
彼女も空を飛ぶ恐竜の怪人と闘っていた、ソレデスの怪人と。この怪人は一撃離脱ではなく滑空しつつ攻撃を仕掛けていた。
空を泳ぐ様にしてだ、縦横に攻めて来る怪人に対して。
向日葵はフットワークでかわしていた、怪人はその向日葵に言った。
「劣勢ね」
「そうね」
あっさりとだ、向日葵は怪人に答えた。
「今は」
「そして劣勢なままね」
「私が負けるっていうのね」
「そう
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