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戦国異伝
第二百十三話 徳川の宴その十一

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 そうしたことを話してだった、長政達は宴の中に怪訝なことも思うのだった。そうしたことを話してそれからだった。
 その家康の宴のことも思った、その家康は家臣達に言っていた。
「徳川家のじゃ」
「はい、最高の宴をですな」
「するのですな」
「頼むぞ」
 家臣達に穏やかだが確かな声で言った。
「一生懸命な」
「わかっております」
「我等全身全霊を賭けて」
「殿の為に」
「明日の宴成功させます」
「必ず」
「無論わしもじゃ」
 家康もというのだ。
「励むぞ」
「殿もですな」
「励まれますか」
「殿ご自身が」
「そうされますか」
「うむ」
 これが家康の言葉だった。
「御主達と共にな」
「では我等一つとなり」
「そのうえで」
「この度の宴を」
「そうしていこう」
 是非にというのだ。、こう話してだった。
 徳川家の面々は一丸となり宴に向かっていった、そのうえで彼等の出来る最高の宴を行おうというのだった。
 その宴についてだ、山本は信玄にこう言っていた。
「殿、徳川殿の宴ですが」
「その宴でじゃな」
「徳川殿は必ず見せてくれます」
 その隻眼を光らせての言葉だった。
「間違いなく」
「その器をじゃな」
「あの方は天下の執権になれます」
 家康をそこまでの者だというのだ。
「上様の下において」
「天下のじゃな」
「はい、執権にです」
「そこまでの御仁じゃな」
「かつて三方ヶ原で殿に敗れましたが」
「うむ、あの時にしてもな」
「我等の攻撃を受けてもです」
 武田は五万で一万の徳川を攻めた、それにより散々に破った。
 その時のことをだ、山本は言うのだ。
「徳川家は敗れましたが」
「それでもじゃな」
「はい、誰もが背を向けていませんでした」
「果敢に戦ってじゃったな」
「死んでおりました」
「そして徳川殿もな」
「あれ以降軽挙なことはされず」
 そしてというのだ。
「慎重な方になっておられます」
「だからじゃな」
「はい」
 それで、とだ。山本は信玄に話していった。
「その戦ぶりも政もです」
「どちらもじゃな」
「非常に素晴らしい方です」
「そうなったからじゃな」
「あの方はここでその器を見せられてです」
 こう信玄に話すのだった。
「天下の執権に相応しいと見せるでしょう」
「ふむ、ではわしも見よう」
 信玄もこう山本に答えた。
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