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とんだ花嫁
5部分:第五章
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第五章

「仕方ないな」
「仕方ありませんか」
「そう仰るのですね」
「こうするしかないのだからな」
 困り果てた顔での言葉だった。
「王としてな」
「そうですね。王として」
「ここは」
「しかしだ。女達はそのままだ」
 愛人達のことである。
「やがて王妃に会わせて話をつける」
「それもですか」
「されるというのですか」
「話しておかねばならんだろう」
 それは絶対という口調だった。
「違うか?それは」
「まあ確かに」
「黙っていてもばれる話ですし」
「それも必ず」
「だからだ。もう話しておく」
 そうするというのだった。これが王の考えだ。
「それでいいな」
「それがよいかと」
「では」
「これも王の務めだ」
 それに従うというのだった。
「それではな。そうするぞ」
「そうされて下さい」
「そしてですが」
 今度は家臣達からだった。王に対して問うてきた。
「王妃様はどう仰っていましたか」
「初夜のことは」
「臭いと言われたぞ」
 この場でははじめて顔を崩した王だった。
「大蒜の匂いがするとな」
「そうですか、やはり」
「大蒜ですか」
「ははは、これから先が思いやられると言われた」
 王は顔を崩したまま語る。
「そうな」
「ですから大蒜はです」
「慎まれた方がいいのです」
 家臣達はこのことをここぞとばかりに話す。
「好き嫌いがありますから」
「ましてや女性では」
「いやいや、これは止めんぞ」
 だが王はその崩した顔で語る。
「絶対にな」
「それではこれからもですか」
「その大蒜の匂いでベッドに」
「そうするぞ。しかしまああれだな」
 王はここで話を微妙に変えてきた。
「あの花嫁にはかなり驚いたがだ」
「王の好みではありませんね」
「どう見ても」
「しかしよい」
 それでもだと。王は言うのだった。
「よいぞ、あの王妃で」
「何故ですか」
「それはまた」
「政治がわかっているからだ。だからよいのだ」 
 王の顔が一転して真面目なものになった。
「それでだ。よい」
「政治がわかっておられるからこそ」
「それでなのですか」
「王妃に必要なことは二つだ」
 王はその真面目になった顔で家臣達に話す。
「子供を多く産めること、そして」
「政治がわかっている」
「この二つですね」
「まああの立派な身体なら子供は多く産めるだろう」
 王妃のかなり控えめに言ってふくよかなスタイルを思い出しての言葉である。このことは流石によくわかっている王だった。伊達に女好きではない。
「まずはそれはよし」
「そして次ですか」
「それもまたなのですね」
「政治もわかっている。ならばそれでよい」
「わかりました、それではです」
「これから
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