暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と二本尻尾の猫
第十二幕その五

[8]前話 [2]次話
「先生、有り難う」
「いやいや、僕達は見ていただけだよ」
「何言ってるのよ、色々調べてくれたじゃない」
「デートの前に」
「私と猫達の主観だけじゃね」
「判断出来なかったっていうんだね」
「先生が調べてくれてアイディアも出してくれたから」
 それで、というのです。
「上手くいけたのよ」
「だといいけれどね」
「しかもね」
「しかも?」
「そう、先生がね」
 さらに言うお静さんでした。
「あのガラの悪い人達退散させてくれて」
「あれも動物の皆がしてくれたから」
 先生でなく、というのです。
「僕じゃないからね」
「そこでそう言うのがね」
 お静さんは先生ににこりと笑ってお話するのでした。
「また先生らしいわ、謙虚ね」
「有り難う、そう言ってくれて」
「とにかく今回は先生のお陰よ」
 お静さんは先生の横を後ろ足で歩きながらお話します。
「ハッピーエンドになったわ」
「そしてハッピーエンドの後は」
「新たなストーリーのはじまりよ」
 お静さんはにこにことして言うのでした。
「これからも大変だけれど」
「それでもだね」
「お二人は幸せになるわ、いえしてみせるわ」
「お静さんがだね」
「絶対にね」
 こう言うのでした。
「これからも」
「頑張ってね」
「ええ、先生もね」
「僕も?」
「そう、頑張ってね」
 お静さんは先生のお顔を見上げてこうも言ったのです。
「先生も」
「学問も誰かの為に動くこともね」
「いやいや、どっちもじゃなくて」
「あれっ、違うのかな」
「ううん、そうじゃなくて」
 お静さんも動物の皆と同じお顔になってしまいました、そうして言うのでした。
「何ていうか」
「?どうしたのかな」
「先生本人の幸せは遠いわね、まだまだ」
「僕は幸せだよ」
 やっぱりわかっていない先生でした。
「皆がいてくれてお仕事もあってお家もあってね」
「ああ、そういう幸せじゃなくて」
「これで充分じゃないかな。美味しい食べものにも囲まれていて」
「確かに先生は幸せだけれど」
 それでもというのです。
「ちょっとね」
「そうなんだ」
「まあ遠くても」
「それでも?」
「何時かはね」
 お静さんは先生に温かい言葉をかけるのでした。
「先生もね」
「今よりもなのかな」
「今よりもだし」
 お静さんは先生にこうも言いました。
「今の幸せとはまた別の幸せよ」
「幸せにも色々あるけれど」
「その中の一つよ」
「僕が出会う幸せは」
「何時か出会う幸せはね」
「それは何かな」
「まあね、わかる時も来るわ」
 お静さんは明るいお顔です、そうしたお話をしてでした。
 先生にです、こう言ったのでした。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ