バイバイエドラス
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ジェラールはナツさんを眠らせようと杖を向けたが・・・その杖から出てきた魔力は、無情にもアニマに吸い込まれた。
(魔力が・・・アニマに・・・)
「どうした?魔力がねぇと怖ぇか?」
「くっ」
ジェラールは図星をつかれたのか、表情を歪ませる。
「そうだよなぁ!!魔法は・・・力だ!!」
ナツさんは自分の乗っている建物に火竜の鉄拳をして、建物を木っ端微塵にする。
「きゃー!!」
「何だ、この破壊力は!?」
「これが魔法の力なのか!?」
「やめろぉー!!」
国民はあまりの力にさらなる恐怖を感じている。
「ナツさん!!やりすぎですよ!!」
「いや、ウェンディ。これでいいんだよ」
「そう、これで強大な魔力を持つ“悪”に、魔力を持たない“英雄”が立ち向かう構図になるんだ」
慌てるウェンディに対して、俺とガジルさんがそう言う。まぁ、きっとあとで建物を直すのは大変だと思うけどね。
煙が晴れると、ジェラールとナツさんは互いを向き合っていた。
「もうよせ、ナツ。私は英雄にはなれないし、お前も倒れたフリなど、この群衆には通じんぞ」
ジェラールはナツさんにそう言うが・・・
「勝負だ!!」
「ぐ!!」
ナツさんはそんなの関係なしにジェラールの頬を殴る。殴られたジェラールは、背中から倒れる。
「王子!!」
「なんて狂暴な奴なんだ!!」
「茶番だ!!こんなことで民を一つになど・・・できるものかー!!」
ジェラールは起き上がってナツさんに拳をつき出すが、ナツさんはそれを片手で受け止める。
「本気で来いよ」
「ぬぉぉっ!!」
「ふがっ!!」
ジェラールは体を半回転させ、ナツさんに回し蹴りを入れる。
「オオッ!!」
「いいぞ王子!!」
「やっつけてー!!」
「お願い!!頑張って!!」
国民たちはジェラールがナツさんに一矢報いたことで大いに盛り上がっている。
「ギャラリーも乗ってきたぞ!!」
ナツさんはフラフラと立ち上がり、ジェラールを見据える。
「バカモノ!!やらせなんだから、今ので倒れておけ!!」
「やなこった!!」
「うおっ!!」
ナツさんは今度はジェラールの腹に拳を叩き込む。
「王子ー!!」
「イヤー!!」
「このやろう、王子に・・・」
国民たちは悲鳴をあげるが、ジェラールはすぐにナツさんに反撃し、二人は殴り合いを始める。
それを見て、次第に国民たちは王子コールを始める。
「これは俺流の、妖精の尻尾壮行会だ」
「!!」
ナツさんはジェラールにしか聞こえない声でそう言う。俺たち滅竜魔導士組は、その微かな声を耳を澄ませて聞く。
「|妖精
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