踏み外した歴史編
第4話 仲良しと仲直り
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あるんだぞ」
「だって」
「俺なら平気だから。な?」
「はい……失礼しました。凰蓮さん」
「よろしい。礼儀はわきまえてるようね。嫌いじゃないわよ、そういう子」
巴はそそそ、と初瀬の後ろに隠れた。こういう所を可愛いと思って優越感を覚える辺り、自分も相当だと初瀬は思った。
それと同時、ドルーパーズのドアが開いた。
――もう一人の少女は少女で、大切な人との再会を果たしていた。
「おかえりなさ――貴虎兄さん!?」
碧沙は長い髪を振り乱して一直線に、紘汰の後ろにいた貴虎の胸へ飛び込んだ。貴虎は軽くよろめきつつ、碧沙を受け止めた。
「碧沙?」
「知ってたわ。ずっとそばで守ってくれたね。ありがとう。兄さん」
「お前……覚えているのか?」
「ええ。ぼんやりとだけど」
「そうか……」
貴虎は手を碧沙の頬に当てた。
「ともかく、お前だけでも元気で戻ってきてくれて、よかった」
碧沙は極上の笑顔で貴虎の手に頭を預けた。
喜びを浮かべる貴虎とは反対に、紘汰は悔しさとも悲しみともつかない感情でいっぱいいっぱいだった。
「どした? 紘汰。この世の終わりでも見て来たような顔してんぞ」
「――裕也」
「ん?」
「まさに見て来たかもしんねえ。この世の終わり」
紘汰は語った。店内にいる全員に聞こえるように。時おり、貴虎のフォロー説明を借りながら。
――舞の“始まりの女”化と、消失。
――知恵の実の、世界を塗り潰す力。
――舞が誰も選ばず、独りで知恵の実の力を引き受けて滅びを回避しようとしていること。
「サガラは言った。舞君をこちら側に戻すには、強く呼びかけ、君が必要なのだと訴え、舞君に自発的に戻って来てもらうしかないと。私と葛葉、それに舞君のチームメイトの少女では、無理だった。光実の時だけ、応えてくれたが、留まって知恵の実を誰かに渡すことはしなかった」
裕也が握り拳を額に当てて俯いた。
「……その肝心のミッチはどこっすか」
「ガレージに残ると言っていた。戦えない二人の護衛に付くと」
「ペコとチャッキーのか……針の筵だろうに。変わったな、あいつ」
「俺が悔しくて妬く程度には男らしくなってたぜ」
「そりゃ相当だ」
裕也が席を立ち、店の出口に向かった。
「どこ行くんだ?」
「耀子さんに伝えに行く。戒斗はともかく、耀子さん一応、俺の上司で師匠だから」
「待てよ」
ザックが席を立った。
「一人じゃ危ねえだろ。俺も行く。戒斗ともきちんと話したいしな」
「お待ちなさい。お子様二人で送り出すワテクシだと思って?」
「あ、凰蓮さん、俺も」
「坊やは残るの」
「あで!?」
二度
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