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インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜
卑怯者

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あれから辺りを探すこと、数分。やっと、少女らしきものを見つめる。

「一夏とののさんを何処に隠したんですか?」

「早いね〜、お姉ちゃん。もう少し時間がかかると思ったのにな……」

「いい加減に……」

視界がぼやけて見える。目をこする私に少女はニコニコと笑いかける。

「やっと効いてきたようだね。前持って、金狐に結界張ってもらってたんだ」

「……銀狼っ!」

「こんな状態なのに戦うんだ、お姉ちゃん?わたしは別にいいよ。コテンパンにしてあげる」

少女に斬りかかるが少女はたやすく避ける。そして、カウンターで右拳を私の溝うちに叩き込む。肺から空気が漏れる。

「くっ」

「お姉ちゃん?まだたった一発だよ?ほらほら、避けないと」

歯を食いしばり、なんとか少女の攻撃から避けようとするが上手く行かない。左頬や右頬、お腹など確実に拳を埋めてくる少女は笑っていて、その笑顔を見るたび私はさみしくなった。
(これじゃ、あの時の繰り返しじゃないですかっ。私はあの子を守れなかった、もうあんな思いはーー)
自分だけ、幸せになるなんて嫌なんです。もうーー

「!?」

「全然効きませんね。あの時の貴女の拳の方が痛かったです」

「……何、言ってるの。意味が分からないよっ、お姉ちゃん」

「くっ。あっ。……いくら殴って無駄ですよ。そんな気持ちが篭ってないパンチ、私には全然効きません」

私はそう言って、少女を殴り飛ばす。少女はゴロゴロと地面を転がるとムクっと起き上がり、私に向かってくる。

「あなたに何が分かるっ!?わたしがいままでどんな気持ちで過ごしてきたか……っ。わたしを忘れてしまったあなたには分からないでしょう!?」

「………分かりますよ。私は貴女の事を忘れてません」

「っ!!嘘を付かないで。あなたはそうやっていつもいつもわたしをからかって、楽しんでいるだっ!!」

少女は私の頬を殴ると地面に転がった私の上に跨ると両頬を殴る。

「今のわたしではあなたに勝てないのは分かってるっ。でも、あなたがムカつく。おとうさんに可愛がられて、好きな人まで出来て。わたしを忘れて、楽しそうに暮らしているあなたが殺したいほどムカつくだよっ!!」

早優は立ち上がると地面に寝転がる私を一瞥して、その場を後にした。

「…………」

(一夏とののさんの居場所。聞きそびれてしまいました……)
頬の痛みに顔をしかめながら、自分の身体を見る。

「っ。痛っ。……これくらいじゃあ。あの子が味わった苦しみにも満たないですね……」

上を向くと星空が広がっていた。その星空に手を伸ばしながら、涙を流す。

「……シャル、すいません……。約束、破ってしまいました……」
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