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3部分:第三章
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人もまた同じです」
「ではです」
 ネロはセネカの今の言葉にはすぐに頷くことができた。
 それでだ。こう彼に述べたのだった。
「その人が文字を作ったからですね」
「はい、ですからその人もです」
「文字と同じく」
「醜くもあり美しくもあるのです」
「その両方を持っているのですか」
「そのことを踏まえて何事も為すのが政治です」
 そしてだった。セネカは政治のことも話したのだった。
「そうなるのです」
「成程、そうなりますか」
「では皇帝、宜しいでしょうか」
 ネロに話し終えてだった。セネカはだ。
 今度は微笑みだ。そして言ったのだった。
「政治も終わっていますし」
「詩をですね」
「二人で読みましょう」
 共に詩を読むことにだ。ネロを誘ったのである。
「そうしましょう」
「そうですね。それでは」
 ネロも笑顔で頷いた。その顔にはもう憂いは消えていた。
 そしてその顔でだ。こうセネカに言ったのである。
「ホメロスの他にも」
「ローマの詩もですね」
「そうです。それを今から朗読しますか」
「はい、その文字を読んでそのうえで」
「楽しみましょう」
 セネカはネロに話す。そしてだった。
 ネロは笑顔でセネカが手渡したその詩を読んだ。そうしてだ。
 それを言葉に出して言うのだった。文字を読みつつ笑顔になってだ。


文字   完


                           2012・1・23

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