第28話 Machination 7
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の方から距離を詰め、〈空牙〉ではなく連続の拳と蹴りででサテライザーを攻め立てる。
威力は〈空牙〉の倍に近い。それもそうだ。遠距離ではなく、近距離での攻撃なのだから。痛みで体が動かない。意識も朦朧としてきた。おそらく、これ以上の戦闘は困難だろう。
だが、倒れてはいけない。
“約束を破るわけにはいかな”いのだ。
膝をつく寸前で、ノヴァブラットを杖に使いなんとか立ち上がる。
まだだ。まだ自分には、奥の手がある。
「まだやるでありますか?」
「当たり…前だ。私は…負けない……」
その眼光に一瞬たじろいだが、それも本当に一瞬だ。すぐに先ほどまでの佇まいを見せる。戦士ならば当然だ。
そして、死闘が再開された。サテライザーが加速を使い、ラナの前から姿をくらます。
「無駄でありますよ??」
見えないのなら、それはそれで構わない。たとえどんなに早くたって、加速時の音と、空気の振動までは消せない。
感覚を研ぎ澄ましたラナの前では、今までの加速。つまりシングルアクセルでは意味がないのだ。
ではどうするか?
答えは単純だ。
速度を倍にすればいい。
ラナから放たれる音速に近い拳撃を、サテライザーは、それを遥かに上回る速度で避けた。
「なっ??」
ラナは驚愕で顔を歪める。
確実に仕留めたと思ったのに、渾身の〈空牙〉が避けられた。
それだけでも驚愕だと言うのに、今度は速度が倍近くに跳ね上がり、全く捉えられなくなったのだ。
自分が捉えられないほどに。
音速を超えた一撃は今までのどの攻撃よりも重く、鋭く、深く体へとダメージを与える。
「ガッハァッ………」
サテライザーの姿がようやく視認できたが、疲労とダメージの蓄積によって、視界がぼやけてしまう。
だが、それでもサテライザーが、自分と同じように限界が近いのは明白だった。
「さすがは…接触禁止の女王と呼ばれるだけはあるでありますね……」
それでもお互いに倒れない。
誇りがある。意地がある。そして何よりも、互いが互いに負けたくないという信念がある。
サテライザーはブレードの切っ先をラナへとまっすぐに構え、必殺の一撃を放とうと身構える。
その姿は、やはりカズトの構えとどこか似ていた。
「これで…終わらせる……」
その宣言は、真正面から行くということだ。それを聞いて、ラナはクスリと笑う。
「本当に、面白いひとであります。」
真っ向勝負ならば、受けない訳にはいかない。
「いくぞ。」
「来るであります。」
二人の姫が、同時に命を奪いに行った。
その一撃は、ぶつかり合う…はずだった。
「状況を説明してほしいんだけど…?」
このイレギュラーが、割って入らなければ。
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