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スレンダーマン?がダンジョンに潜るのは間違っているだろうか
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ひとしきり叫んだ後、私がするべきことは愛用の青木スーツに泣く泣く穴を開けることだった。
そのままでは触手が邪魔で着れた物ではないので、ヒルコ様から借りた鋏でなるべくきれいに穴を開けていく。その間も背中の触手はウネウネと元気に蠢いている。意識しないと勝手にうねるようだ。
だが意識すればかなり自由に動く。それに近くの物を手当たりしだい持ってみたが(巻きつけるの方が正しいだろうか?)片手でもてない物も結構振り回せたので腕よりは力がありそうだ。
「しかし驚いたなぁ。一体何があったんだろうね。」
「それは私が聞きたいですヒルコ様・・・」
座りながらスーツを裁断している私は杖をつきながら立っているヒルコ様を見上げることなく喋る。
何が起きたかなんて私にも理解できないのだ。
「君は小さいころから特殊な能力があったと言っていたね。となると先祖に異形のものかなんかがいたんじゃあないかなぁ。『
恩恵
(
ファルナ
)
』を受けて先祖返りしたのかもよ。」
「手数が増えてラッキー程度に思えばいいんじゃないかな?」
「そう言われましても・・・」
自分が人ではなくなったのと、苦楽をともにしたスーツに歪な穴を開けることにはなかなかテンションが下がる。
「さて、そろそろギルドに行ってもらうとするかな。」
そう言いヒルコ様は、なにやら膨らんだ巾着袋を渡してくる。受け取るとなかなかに重い。
「これで装備やらをそろえるといい。安物の武器なら君の腕の数は買えるはずさ。防具まで買えるかは不安だが・・・まぁ胸当てだけでも買えばいいんじゃないかな。」
「あと見た目に関してはまぁ・・・
亜人
(
デミ・ヒューマン
)
で通せばいいさ。それできっとどうにかなる。」
「はぁ・・・なるほど。」
立ち上がりYシャツと上着を着る。触手を動かしてみると動きに問題は無いことがわかる。自由に動かせるからだの部位が増えるのはなんとも変な感覚だ。玄関まで移動すると、ヒルコ様は私を見送るために着いてきてくれた。
「それではヒルコ様、行ってきます。たぶん日没までには帰れると思います。」
「ああ、行ってらっしゃい。私も今日は用事があるけど多分君よりは速く帰れると思う。まぁ夕食とかは自由にしてくれよ。私も外で食べてくるからね。それと・・・」
ヒルコ様は言葉を止め私の首に手を回し頭を引き寄せる。中世的な美しい顔が私のゆで卵のようなのっぺりした顔にぎりぎりまで近づく。
「ダンジョンに潜ってみてもいいがくれぐれも無茶をしないように。君は僕のただ一人の
眷属
(
かぞく
)
だからね。いなくなったら寂しい。」
そう言うとヒルコ様はぱっと離れ
「さぁ!
新人
(
ルーキー
)
よ頑張ってきたまえ!」
と魅力的な笑顔で私を激励する。突然の出来事に頬が上気
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