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スレンダーマン?がダンジョンに潜るのは間違っているだろうか
第二話
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たんに状況を理解したのか、一目散に駆け出した。



走り出したはいいものの走ることがそれほど得意でもないわたしは、すぐに少年と併走する形になる。
瞬間移動はこういう状況では使えないのでひたすら走るしかない。
会話を挟む余地も無く少年と必死に走る。後ろの怪物も中々しつこくあきらめる様子が無い。いったい後どれだけ逃げればよいのだろうか。

そう考えながらも少年と逃げ出し早数分、私達の鬼ごっこは終わりを告げた。何十もの通路を抜け、たどり着いたのは正方形の広いフロア。その空間の隅に私と少年は追い詰められてしまった。

『フゥー、フゥーッッ・・・!』

赤く輝く双眸が私達を見下ろす。怪物が一歩また一歩と地響きを起こしながら距離を詰めるたびに、隣にへたり込んだ少年の身体が震え上がる。こういったピンチは久しぶりだ。尤も、前のときは人間が相手だったが。
追い詰められたのなら仕方が無い。勝てそうにも無いが抗うしかないだろう。今までもそうしてきたし、生憎と諦めるのは大嫌いだ。

少年の前に進み出て鞘に収めていた武器を抜き背中の触手を構える。相対するは死の象徴、手には緊張で汗がにじんでくる。一発でももらったらひとたまりも無い。

怪物が私の頭を潰さんとこぶしを振り上げたとき、私の視界は怪物の後方に靡く金髪を一瞬捕らえた。
私はどうやら幸運の女神に見放されてはいなかったようだ。すぐさまその金の糸を頼りに瞬間移動を発動させる。怪物のこぶしは私の頭のあった位置を通って空を切った。

私が転移するのと、少女が駆け出したのはほぼ同時だった。私が振り向き怪物に不意打ちをしようとしたときにはもうすべてが終わっていた。
さきほどまで牛が立っていた位置には何ブロックかの肉塊、その先には牛を解体したと思われる人形のように美しい少女と返り血をモロにかぶった少年が見える。少女は少年に何か語りかけていたようだが、少女が一歩近づいたとたん少年はばねのように飛び上がり叫びながら先ほどの逃走に負けるとも劣らない速度でどっかに逃げ去ってしまった。そんなに怖かったのだろうか。

「お嬢さん、ありがとうございます。おかげで助かりました。」

少女に近寄り、恭しく一礼する。助けてもらったからには一言言うのが礼儀だろう。
華奢な体とそれに乗る童顔、それに靡く金髪はまるで女神のようだ。

「すいません、うちのファミリアがとり逃してしまって・・・あなたは・・・」

「おっと失礼、自己紹介を忘れていました。」

「私の名前はヤス、本当は違う名前ですけど長すぎて発音も面倒なのでヤスで統一しております。所属は【ヒルコ・ファミリア】、こんななりですが一応人でございます。」

一歩引き下がり、また恭しく一礼する。それと同時に先ほどの少年が落としたであろう袋が足元に
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