3.地上の兎、迷宮へ
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リアの存在を認めないいくつかのファミリアが彼等を襲撃した事件が原因である。
その襲撃事件に参加したファミリア達は――皆殺しにされたのだ。
元々彼らはかなり悪質な神の従える存在だったために正当防衛で殺すことはやむを得ないとも言えるが、ウロボロス・ファミリアは同族である人類を平然とその手にかけた。それまでただ気味悪がられているだけで周囲に害を及ぼすことのない彼らの初めてのアクションは、余りにも苛烈で残酷だった。
その行動は当然ながら大きな物議をかもし、彼らをダンジョンから追放するべきだという声も上がった。だが、その意見は直ぐに取り潰される。
――従える神を追放できないのに、だれがどうやって彼らを止めるのか?
――あの得体の知れない連中にもし抵抗されたら、いったい何人が死ぬ?
――あたら犠牲を出すくらいならば、いっそ不干渉を貫いたらどうだ?
結局その件は正当防衛が成立して、ウロボロス・ファミリアは厳重注意という非常に軽い対応で無罪放免となった。そして、それ以降オラリオには暗黙の不文律が生まれた。
ウロボロス・ファミリアには関わるな。
(隠し事ばかりの神でごめんね、リングアベル。ボクは万が一にもキミに彼らと関わって欲しくないんだ……上の神は彼らはちょっかいを出さなければ無害だなんて言っているけど、ボクは信用できないよ)
スキルの件は自分に言い訳しながらだったが、今回は別だ。
こればかりは本当に教える訳にはいかない。
何故ならば――
(ウロボロス・ファミリアには女性もいるからね。キミ、知ったら絶対口説きに行くだろ!いいや、行くに決まってる!!助けてもらった恩を口実にしてねっ!!)
「………女神様?ちょっと顔が怖いぞ?」
「誰のせいだと思ってるんだい!ふんだっ!」
「????」
せいぜい困るがいいさリングアベル!と、ヘスティアは子供っぽくへそを曲げた。
数秒後、機嫌を戻そうと全力ワッショイを開始したリングアベルに慌てて元の態度に戻ったが。
= =
翌日、町内に買い物に出かけていた二人は、一人の少年を発見した。
白い髪。赤っぽい目。そしてちょっと小心そうな顔つき。何所となく兎を彷彿とさせる少年を前に、リングアベルとヘスティアは驚愕の表情を浮かべる。その顔に、その特徴に、覚えがあったからだ。
「リングアベル。彼はもしかして……?」
「ああ、俺も同じことを考えていた……」
「えっと、あの……?」
如何にも駆け出し冒険者な彼は、状況について行けずに困っているようだ。
見知らぬ女男二人組に突然目の前でヒソヒソ話をされたら、そりゃ誰だって困りもするだろう。
だが、二人はそれ所ではない。何度も言葉を交わし、日記の内容と少年の顔とを
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