暁 〜小説投稿サイト〜
鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
3.地上の兎、迷宮へ
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
この日記帳、一見して不具合もないように見えるが……ちょうど中間あたりから後がごっそり欠落した跡があるらしい。日記もそこからずっと白紙だ。残ったページは後から継ぎ足したもののようだね?」
「まさかそんな事実を暴いてくれるとは!ウチの女神さまは本当に慧眼だな」
「ふふふ。もっと褒め称えたまえ!!」
「数多の知識を含蓄した確かな知性を感じるな!チャーミングでありながら知的であり、更には頼りがいもあるがこちらに頼ってもくれる………まさに大人のレイディッ!!爆発する魅力に酔ってしまいそうだ!!」
「………うう、やっぱり恥ずかしいから褒めなくていいよ」

 聞いているこっちが恥ずかしいことを平然とのたまう。それもまたリングアベルの凄い所である。
 若干顔が赤くなってきた。経験が少ないせいもあるだろうが、リングアベルにそれを言われると妙に恥ずかしい気分にされてしまう。というより隙あらば人を口説こうとするこの男に本気で褒めさせると丸一日ありとあらゆる手法で愛を囁かれそうだ。

「と、ともかく!これ、修繕したのはどうやら倒れていたキミをここまで運んでくれた人物のようだよ。欠落したページはどこにも見当たらなかったそうだから、この日記に続きがあったのかは謎のままだね」
「ほう?ちなみに俺を運んでくれた人物とはどのような人なのかな?てっきり宿の主がそうかと思っていたのだが……」
「うーん……キミを預けてすぐ自分の用事に出かけてしまったから分からないということだ。ただ……」
「ただ、なんだ?」
「………いや、なんでもない」
「おいおい隠し事か?『A secret makes a woman woman(秘密は女を美しくする)』……という言葉もある。これ以上女神様が美しくなったら、俺の情熱もさらに燃え上ってしまうな……」

 フッとニヒルな笑みを浮かべるリングアベル。どこまで本気なのだろう。ある意味どこまでも本気なのかもしれないが、敢えて追求してこない気遣いは助かる。彼は意外と空気が読める男。ヘスティアはリングアベルのそういう所も含めて彼の事を気に入っている。

 実は、助けてくれた人物の手がかりは一つだけある。
 「尾を食む蛇」のエムブレム――その人物は、『ウロボロス・ファミリア』に所属する冒険者だったらしい。

 ウロボロス・ファミリアは、ファミリアとは名ばかりで実際には主神が存在しない戦士の愚連隊だ。そもそもウロボロスは概念であって神ではないので、彼らが何故そのような名前とエムブレムを掲げているのかも定かではない。
 その全員がアスタリスクの加護を受けた人間だとも、実は隠れた主神が存在するとも言われている。彼等は秘密主義で、周囲も彼等を避けるために真相は何も分かっていない。

 何故周囲が彼等を避けるのか。それは、ウロボロス・ファミ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ