第35話 剣は振り下ろす派?それとも薙ぎ払う派?
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目の前で起こったからである。
周りに何個か爆発物を置いていたらしい。
それが先程の爆音の正体である。
しかし、どう見ても俺がそれを起動させた様には見えない。
俺は両腕を上げておまけに掌を見せていたからだ。
そして、事実“俺は何もしていない”。
「一体どうやって‥‥‥‥‥‥ハッ!!」
アスラは少しの間の後に声を上げた。
気付いたか。やはり察しが良い。
本当なら当然の事で頭が回らないはずだが
なかなかの思考の瞬発力を持っているようだ。
「‥‥‥‥‥‥仲間がいたのか」
正解だ。俺自身何も出来ないのだから
他の誰かがやるしかない。普通に考えればわかる。
だが、焦りの中で冷静に頭を回すのが
どれだけ大変な事か俺たちは良く知っている。
ビキキッ! ビキィッ!!
地面に音を大きな亀裂が走った。
数か所から走って来た大きな亀裂は、まるで意志があるかのように
ジェーンとホークアイのいる場所に向かって行った。
二人がいる場所を中心に地面が崩れる。
ここは、そうなるように仕掛けられた罠だったのだ。
ガラガラガラガラッ!!
ついに亀裂が地面を完全に砕ききり
底が抜けるかのように二人は落下を始めた。
ジェーンは未だ気絶したままでいる。
ホークアイの身体能力では彼女を抱えて
落下している中を移動することは出来ない。
つまり、彼らはこの落下から逃げられないのだ。
「ホークアイッ!!ジェーンッ!!」
アスラは助けたい気持ちでいっぱいだったが
地面の陥落が意外と早く、反応が遅れた今では
もはや助けに行っても間に合いそうにはなかった。
故に、彼には叫ぶことしか出来なかった。
「‥‥‥‥死ぬなよッ!!!」
仲間の生を祈ることしか出来なかったのだ。
落下の中、ジェーンを抱えたままホークアイが
僅かに笑みを浮かべたように見えた。
そして、そのまま地面の崩落の轟音と共に
底の見えない闇の中へと消えていった。
**********
「‥‥‥‥うっ、ゲホ‥‥‥ゲホッ」
砂埃だらけの酷い空気に
俺は数回、咳をして目を開けた。
感触的にしかわからないが、俺は座り込んでいるようだ。
目の前には暗闇が続いていた。
つまり、ほとんど何も見えなかった。
体中が痛かったが腹部の激痛に比べれば
そこまで大したダメージではなかった。
今のこの状況から判断するに
俺は地割れか何かに呑まれて
地面より下の位置にいるようだ。
背中にある硬い感触は岩のものだから
結構すぐに察しがついた。
「‥‥‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥‥」
異常に胸が苦しい。呼吸がしにくかった。
何かがつっかえ棒みたいになって
俺の胸に食い込んでいるよう
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