第35話 剣は振り下ろす派?それとも薙ぎ払う派?
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とさえ出来そうにない。
ドッ! ズリリ‥‥‥
俺はそのままの勢いで後ろの樹に背中から当たった。
しかし、足に力が入らないのでそのまま
ズリズリと背中を擦りながら地面に腰をついた。
「ハァ‥‥‥ハァ‥‥‥‥」
俺は気を落ち着かせようとゆっくりと呼吸をした。
普段通りとまではいかないがそれなりに安定している。
内臓の損傷もそんなに酷くはないようだ。
これならしばらく動かなければ
そんなに再生に時間を労さないだろう。
メキメキメキメキ‥‥‥‥‥
「‥‥‥‥ハァ‥‥‥やられたな‥‥‥‥‥」
俺は変身を解きながらつぶやいた。
さっきまでの戦闘で俺の真意に気付いていたとは。
あの時の閃光弾の際に“苦無”を投げなかったことに
疑問を持たれたのだろうか。あるいはその時に気付いたのか。
どちらにしても、確信もなく仲間を人質に取らせるなんて
俺なら絶対にそんな不安要素のある作戦は取らない。
『‥‥‥‥‥‥だが、そんな事をすることが出来る‥‥‥‥』
コイツ等の勇気に負けたのかもしれないな。
俺はそう思いながら、目の前に立つ少年を見上げた。
「‥‥‥ハァ‥‥‥大した奴だよ‥‥‥お前ら‥‥‥‥」
太陽の陰になって見えないアスラの顔を
両目を細めて見ながらつぶやいた。
「‥‥‥‥あんた、良い人だな」
アスラが俺を見下ろしながらつぶやいた。
やはり、すでに気付いていたようだ。
「オレ以外には全員、麻酔針とナイフで攻めて来た。
しかも、最初のジェーンへの攻撃の時に
あんたは一瞬、ナイフの動きを止めた。
そのおかげで対応が間にあったんだ」
なんだ、その時から気付いていたのか。
それは敵ながら驚きしか出てこない。
さすがは才能溢れる若き剣士だ。
「あんたは‥‥‥‥本当に優しい人だよ」
最後にアスラは独り言のようにつぶやいた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥フッ」
俺は思わず鼻で笑った。
それを見たアスラは不快な顔をした。
「何だよ、まだ何かする気か?」
彼には、俺の顔がそのように見えたらしい。
俺の視線の先には、横たわっているジェーンと
それを抱えるホークアイの姿があった。
二人の距離は俺ともアスラとも離れている。
また、眠っている三人とも離れていた。
「いいや‥‥‥‥‥もう何もしないさ」
弱々しく両手で降参のポーズをして
俺は薄笑いを浮かべながら言った。
「‥‥‥‥‥‥俺はな」
付け加えられたその一言の意味を理解するのに
アスラはそれ程時間はかからなかった。なぜなら――――――
ドカアアアアァァアアァァァァァアァァァアアァァァアアアアンッッ!!!!
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