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鎧虫戦記-バグレイダース-
第35話 剣は振り下ろす派?それとも薙ぎ払う派?
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れ故に俺は焦ったのだ。

 ダダダダダダダダッ!! 

二人は一目散に俺の方向へと走って来た。
コイツら本当に俺の話を聞いていたのか?
今、俺はこの少女を人質を取っているんだぞ?

「どうした!!ジェーンを殺さなくていいのか!!?」

ホークアイは俺に向かって叫んだ。
敵である俺に仲間を殺すように促すなんて
あの少年は人の命を何だと思っているのだ。

「‥‥‥‥‥‥チッ!」

 ヒュンッ!

俺はジェーンの首に当てていた“苦無(クナイ)”を
腕の力だけで二人の方向に投げた。
アスラは日本刀を持つ両腕を上にあげた。

 スッ

そして、真一文字に振り抜いた。
恐ろしきは日本刀の切れ味である。
まるで果物を断つかのように全く抵抗なく
苦無(クナイ)”を真っ二つに切り裂いて見せたのだ。
いや、切れ味だけではない。
その使い手の“技量(うで)”が良いのだ。
切れ味だけでは越えられない壁だってある。

『やっぱり、あの独特の投擲法(フォーム)じゃなければ
 重さも速度もそんなに恐ろしい物じゃない』

あの投擲法での“苦無(クナイ)”のスピードは
亜音速に至るほどで、弾丸と同等である。
しかし、推進力+遠心力+腕力+全体重を
苦無(クナイ)”乗せてようやく弾速に達するので
今のような腕力だけでの投擲など
弾丸を見切る程の動体視力と
それに対応できる運動能力を備えた
"鎧人"アスラに捌き切れないはずがないのだ。

アスラは走り寄る勢いを殺さずに
どんどん葉隠に詰め寄って行った。

『コイツら、俺が仲間を殺さないと腹をくくっていたのか?』

俺はこの状況に焦りながら心の中で叫んだが
二人の眼を見るに、それは違うことが分かった。

『‥‥‥‥フッ‥‥‥そうか、逆だったのか』

俺はジェーンから手を離した。
アスラは両腕を上に振りかぶり
日本刀を振り下ろそうとしていた。
それを回避するために俺は
バックステップで後ろに下がった。

『‥‥‥‥‥‥アイツ等は信頼していたんだ』

 ヒュオッ!!

振り下ろされた日本刀の太刀筋は
先程まで人質として捕らえていた
ジェーンから完全に逸れたものだった。
俺が避ける事を読んだうえで振り抜いたのである。

 ザンッッ!!

『‥‥‥俺が彼女を‥‥‥‥殺さないと‥‥‥‥』

バックステップによる回避のおかげで
頭から真っ二つにはならずに済んだが
左の肩から腹までに線が走り、そこから
鮮血が勢いよく噴き出していた。

 ザッ! ザザザッ‥‥‥!

地面に降りたが、身体を支える力も出なかったので
そのまま倒れないように反射的に足が後ろに出るだけだった。
体勢を持ち直すこ
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