閑話―大計略の舞台裏―
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いている桂花が怖いが、この案は採用する事になった。
………
……
…
「どうだ桂花、南皮周辺の整地は進んでいるか?」
「はい! 完成まで大分余裕があります」
数十万を受け入れる事になるであろう準備として、彼等が住む場所を確保すべく南皮の周りは円を描くようにして整地されていた。表向きは街道の安全のためである。
数十万の農民達を受け入れるのは、いくら広大な南皮でも無理があった。そのため、彼等が新しく住める場所を作れるように土地を開発しているのである。どれほどの規模になるのか細かい数字まではわからなかったため、約五十万人分の家を建てられる土地を予め用意し。策が始動して南皮に集結した暁には彼等自身の手で家を建てさせる算段だ。
強制労働と銘打って、道具、食事、仮宿なども用意され、工事が終わった暁には給金まで用意してある。この時代においては破格の待遇であった。
後は新しく出来上がった街を城壁で取り囲む、そしてその工事も、家を建て終えた彼等の『仕事』として、生活が安定するまでの間懐を潤わせる――彼女の発案である。
「彼等自身の手で開発させれば予算を削れますし。数年後には元が取れるようになるでしょう」
余談であるが、袁紹が提案した『生活が安定するまでの間免税』は、三ヶ月から一月に削られていた。
苦労してきた難民達に厳しいのではないか? という袁紹に対し桂花は、慈悲深いのと甘やかすのは違います。と一蹴、袁紹自身が日々気をつけていた言葉を投げかけられ、彼は渋々許可を出した。
………
……
…
そして黄巾の乱、大計略が始動し南皮に農民達がやって来た。しかしその人数は風の予想通り少なく、袁紹は頭を抱えそうになったが――
「フフフ、大丈夫ですよお兄さん、風にまかせるです」
「……妙案があるのか?」
「はい〜、先ずは兵士の皆さんに彼等を威圧させて下さい」
「いや、不安がっている彼等に――「麗覇様」っ!?」
いつも『お兄さん』と自分を呼んでいる風の真名呼びに驚く、彼女の瞳は袁紹を静かに捉える。
まるで自分を信用してほしいと物語るように――
「……わかった」
その様子に袁紹は折れた。彼女の要求通り兵士達には厳しく当たらせた。
やがて食事の支給が始まると、空腹なはずにも関わらず彼等は静かに列をつくり始める。
「……これが狙いか?」
「いえいえ、これはおまけみたいなものです〜」
「……」
彼女の狙いがわからず首を傾げながら農民達に目を向ける。―――すると彼等から 嗚咽が漏れ始めていた。
「――これは」
「フフフ、直前の緊張や不安が大きければ大きいほど、後にやってくる感動も大きくなるですよ」
「……」
「今なら、先ほどお
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