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恋姫†袁紹♂伝
閑話―大計略の舞台裏―
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出と、全体の規模の計算、資材の確保を担当することとなった。

余りの仕事の多さに、頭から煙を出す日々がしばらく続いたが……

………
……


それからさらに時が経ち、風が仕官した後に策の全容を聞かせた。

「お兄さん、あの策の質問があるのですよー」

「いいだろう、何でも聞くと良い」

「ありがとです。……賊達にどうやって伝えるのですか?」

「良くぞ聞いてくれた!!」

「おぉ!?」

質問に対して食い気味で袁紹は声を張り上げた。そして、驚いて目を丸くしている風を他所に、長年考えていた策を話す。

「――看板だ。行商人達に多くの看板を持たせ、漢の勅旨を合図に各地に設置する。
 いずれ、字が読める者に伝わり、そこから全体に広がるであろう!!」

「……それでは不完全ですよ」

「む?」

自信満々な袁紹に水をさすような形で言葉を出す。並みの太守であれば激怒するだろうが、この主にはそのような心配は必要ない。臣下になって日は浅いが、彼にはそう思わせる何かがあった。

「……では、代案はあるか?」

そして彼女の予想通り、袁紹は穏やかな声で問いかける。少し目じりが下がり残念そうではあるが、それもまた愛嬌というものだ。
 彼のそんな表情に、思わず笑みを浮かべながら風は口を開いた。

「賊達のほとんどは農民……虐げられる事に嫌気がさした人達ですよね?」

「そうだ」

「生きるにも精一杯な彼等に、字を学べる余裕は無いですよー」

「なればこそ、多少の学がある者に読ませるために……」

「そうするには人の多い所まで看板を持って行かせるのが確実ですねー。でも字が読めない彼等はどうするでしょうか?」

「っ!?……官軍の降伏勧告か何かと思い無視するか、最悪――」

「破壊されるでしょうね〜」

「……」

袁紹もこれには盲点だった。当然、農民達に字が読める者がいないのは予想出来る。
 だからこそ、字が読める者に見せるために大量に設置しようとしていたが、風の言う通り破壊されてしまっては意味が無い。
 黄巾に合流する移動の途中に、邪魔な荷物となる看板を持っていくとも思えなかった。

「だから看板は鉄で作るといいですよ〜」

「て、鉄?」

「はい、鉄なら破壊は難しいですし。どうすると思いますか〜?」

「……なるほど」

高価な鉄製であれば、生活難な彼等は持ち去ろうと考える。あとはその先で字の読める者に会えば……

「字を読める者に会わなくても、鉄を売ろうとすれば内容がわかるでしょうね〜。
 商人であれば大体の人が字を読めますから」

「っ!?確かに!!」

大金を使う価値があるのでは? と締めくくった風。費用を少しでも抑えるように動
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