嫉妬
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sideタクヤ
リリカから話があると呼ばれ、オレたちはプールサイドに来ていた。
空はすっかり暗くなりプールには綺麗な月が映し出されていた。
「話って?」
「…私…、
タクヤさんの事が好きなの!!!!」
sideウェンディ
「あわわわわわ。」
影からこっそり見ていた私は目の前で起きてる事件(告白)に動揺するしかなかった。
(「お兄ちゃんは…なんて答えるの…?」)
「…さんきゅーな。」
「!!!!」
私の耳がおかしくないのであればお兄ちゃんは確かにさんきゅーと言った。
私はいつの間にか流れている涙を拭う。だが、涙は止まらなかった。
(「やだよ…やだよ…お兄ちゃん…。」)
「でも、ごめん。」
「!!!!」
私は涙を流し続けながらお兄ちゃんに目をやった。
「お前の気持ちには応えられない。」
その言葉は完全にリリカさんの告白を拒否するものだった。
私は腰が抜けそうになったがここで気付かれれば気まずい空気になるので我慢した。
「…そうですか。いえ、いいんです。…悔いはありません。」
リリカさんは泣きながらもその顔はどこかすっきりした顔をしていた。
「でも一つだけ…聞いていいですか?」
「なんだ?」
「タクヤさんは今好きな女性はいるんですか?」
「!!!!」
今日何度目かわからない動揺に私は喜怒哀楽がついていけてなかった。
だが、お兄ちゃんの好きな人がわかるチャンスだ。私は耳に全神経を集中させる。
「…いない。そんな人いないぜ。」
「そうですか…。」
「それにオレはほかの人を好きになる資格なんてないんだよ。」
「えっ?」
「い、いや、なんでもない!!それより今日はもう遅いし宿屋まで送るよ。」
そう言い残してお兄ちゃんとリリカさんはギルドを後にした。
でも私はしばらくその場を動かなかった。最後に呟いたあの言葉…。
_ほかの人を好きになる資格なんてないんだよ
あれはどういう意味なのか。そういえば私はお兄ちゃんについて知ってるようで知らない。
私と同じ滅竜魔導士で5歳から一緒に暮らし始めたがそれより過去のお兄ちゃんを知らない。
そこにさっきのセリフが意味する答えがあるのか。
だが、これは私が聞くことじゃない。いつか、お兄ちゃんが話してくれるその日まで待とう。
時間はまだたくさんあるのだから…。
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