嫉妬
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”と呼ぶ。
「で、それは売っちまったのか?」
「とんでもない!!あれは我が家に代々から伝わる家宝で売るなんてそんな事…。」
「なら、そいつを奪う為に店を燃やしたと考えた方が自然だな。」
後ろでグレイさんが犯人の企みを推測している。
「犯人がどんな目的があろうとこんな事許されねぇぞ。」
「そいつ等見つけてぶん殴ってやる!!!」
ナツさんがまた乱暴な事を言っていたが私も気持ちは同じだ。
「でも、手がかりもなんもねぇ…。仕方ないな。」
お兄ちゃんはベットから立ち上がりおじいさんの肩に手を置いた。
「じいさんの店はオレたちが直してやる。家宝も絶対ェ取り返してやる。だから、安心してくれ。」
そう言ってお兄ちゃんは医務室を後にした。
「ありがとうございます!!」
おじいさんは涙を流しながら医務室にいないお兄ちゃんに礼を言った。
ギルドの中はまだ街の人で混み合っていた。
「タクヤさん!!」
すると人ごみを割きながら一人の女性が現れた。
「リリカ!!お前もここにいたのか。」
(「あっ!!?」)
私は時計に目をやると時刻は既に19時を回っていた。
「悪かったな。飯に誘われてたのに。」
「いいえ、こんな状況だから仕方ないです。でも、タクヤさんが無事でなによりです。」
「こうみえても魔導士だからな。」
お兄ちゃんとリリカさんは楽しそうに会話を続けていた。
「それで、この方は…。」
「そういえば自己紹介してなかったな。コイツはウェンディ・マーベル。オレの妹だ。」
「まぁ!!そうだったんですか。…はじめまして、私はリリカと言います。よろしくお願いします。」
「こ、こちらこそ。」
私はリリカさんと握手をした。近くで見るとスタイルが良く出るとこも私より出ている。
どうしたらあんなにでかくなるんだろうか。
「それで、あの、タクヤさん…。お話があるんですが良いですか。」
「おう。なんだよ?」
「ここじゃあれなんでどこか二人きりになれる所まで行きませんか。」
これは…この展開は…多分、いや確実に告白シーンに持ち込む気だ。
「…わかった。ウェンディはここにいてくれ。」
「あっ…。」
確実に告白される…そう思いお兄ちゃんを止めようと手を伸ばすがすぐに手を引いた。
(「あの人の顔…。」)
リリカさんのあの真剣な顔に思わず手を引いてしまった。
今すぐにでもお兄ちゃんを止めたい。行って欲しくない。だが、リリカさんは勇気を出して告白するのだ。
なんの勇気も持たない私がそれを邪魔する権利があるだろうか。
私は小さくなっていく二人の背中を見えなくなるまで見送っていた。
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