嫉妬
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そのためか店内には若い女性やカップルなどが多数いた。
「わぁ…これかわいい。」
私は一枚のノースリーブを手に取り体に当ててみる。
「どうかな?」
「うん。いいと思うぞ。」
次に選んだのは少し大きめのオーバーオールだ。
「これとかは?」
「ああ。よく似合ってるな。」
「もう…。本当にそう思ってる?」
「思ってるって。まぁ、ウェンディは何着ても似合うからな。」
「えっ…!!そ、そうかな。」
私はみるみる顔が赤くなっていく。自然な流れでこんな事言われるとダメージがでかい。
(「そう言った方が無難だな。」)
「あ…これはどう?」
私は咄嗟に服を取りお兄ちゃんに感想を求めた。
が、お兄ちゃんは顔を赤くして顔を背けた。
「どうしたの?」
「い、いや…それはちょっとどうかなと…。」
「それって…。」
ウェンディは自分の持っている服を見るとそれはレースのワンピースで生地も透けており、
胸のあたりに穴が空いていた。
「え、えっと…これはね…咄嗟に取ったから…。」
「いや、別にダメとかじゃなくてだな…。その、なんというか、まだ早いって言うか…。」
そんな不毛なやり取りをしていると周りの客の話し声が聞こえてきた。
「ヒソヒソあんな小さな子にあんなの着させるの?」
「ヒソヒソ私、あの子たち見たことあるよ。妖精の尻尾の魔導士だよ。」
「ヒソヒソてか、あれ男の方の趣味なの?」
周りからチラチラ見られお兄ちゃんも薄々気づいている。
「あ、あはは…まだ早いよね…あはははは…。
失礼しましたァァァァ!!!!」
「おわっ。」
私はお兄ちゃんの手を握りその店から猛ダッシュで出ていった。
「ハァ…ハァ…。」
「ハァハァ…ふー。」
私たちは噴水の広場にあるベンチに腰をおろしていた。
噴水のおかげである程度涼しい。が、それを帳消しにするほどに私の顔は熱くなっていた。
「ご、ごめんね。」
「いや、いいけど…。喉乾いたな。なんか買ってくるわ。」
「うん…。」
タッタッタッ
そう言い残してお兄ちゃんは飲み物を買いに行ってしまった。
「…はぁ。」
深いため息をつく。それだけ私は自分に苛立ちを憶えていた。
「どうして上手くいかないんだろう…。」
はぁ…私はまたため息をつく。お兄ちゃんは私の事を妹としてしか見ていない。
それが普通である事は私でも知っている。
でも、私とお兄ちゃんは血も繋がってないし、違う言葉で言えば幼なじみと言える。
それなら恋愛だって普通にやってもいいはず…と心の中で考えていても行動に移せない。
「あの時何であんな事言っちゃったのかな…。」
あの時、お兄ちゃんがまだ私のお兄ちゃんになる前
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