嫉妬
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太陽の日差しが照り続け私の肌を焼いていく感覚がある。
いつもより強い日差しはまるで私の心のように暑かった。
「…。」
私はカウンターでジュースを飲みながら離れた所にある一つのテーブルを見ていた。
そこには私の兄で最も信頼し、そして愛しているタクヤが座っていた。
お兄ちゃんだけなら何時間だって見ていられる。お兄ちゃんだけなら…。
「あの…今度一緒にお食事でも行きませんか?」
「おう。いいぜ。」
なんとも素っ気ない返事。それでも女性は満面の笑みを浮かべていた。
「…。」
私の心はナツさんの炎より熱い気がする。それぐらいお兄ちゃんと隣に座っている女性を凝視している。
「どうしたの?ウェンディ。」
そうしている時に私の隣の席にルーシィさんが座っていた。
あまりに集中しすぎててまったく気づかなかった。
「何見てるの…って誰?あの人。」
「私も知らないんですけどギルドの人じゃないですよ。」
女性の体のどこにもギルドマークらしいものが見えない。
単に服で隠れているだけかもしれないが、少なくても妖精の尻尾の魔導士ではない事は確かだ。
そう話している内にお兄ちゃんは女性をギルドの正門まで見送って元の席についた。
すかさず私はお兄ちゃんの隣の席をキープした。
「ん?どうしたウェンディ。」
「…あの女の人、誰?」
「あぁ…リリカの事か?」
私はお兄ちゃんから名前を教えてもらうとすかさず頭の中のブラックリストに刻んだ。
「この前街でエマと買い物してた時に道案内してあげたんだ。
マグノリアには観光で来たとかで道が分からなかったんだって。そん時に知り合ったんだ。」
「それで、なんでここ数日毎日来てるの?」
「さぁ?」
お兄ちゃんはリリカさんにしたような素っ気ない返事をくれたが私は納得出来なかった。
あの人は明らかにお兄ちゃんに好意を寄せているからだ。
毎日のようにやって来てはお兄ちゃんを探し、会えた時の顔は幸せいっぱいといった顔をしている。
「で、さっき何か約束してたね。」
「今度一緒に飯食いに行こうって…聞いてたのか?」
「当たり前だよ。お兄ちゃんが何話してるのか気になるし。」
(「なんで気になるんだ?」)
お兄ちゃんは度が過ぎている程鈍感だから今どういう状況なのか分かっていないだろう。
それが幸をさしているのかリリカさんのアタックも難なくかわしていた。
「で、その食事っていつなの?」
「今日の19時にレストランでだ。明日はもう帰るって言ってたから。」
今日!?今が14時すぎだからあと約5時間しかない。
明日帰るって事は今日確実にお兄ちゃんに告白するつもりだ。まずい…。
「じ、じゃあそれまでやる事がないなら一緒に仕事行かない?」
私はなんとかデートを阻止するためにお兄ちゃんに提案した。
「わり。今日
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