リズ・ローランド
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ご機嫌が良くないようだね。出直すとするかな。では、僕はこれで」
何とでもないように気障な笑顔を浮かべ、片手で前髪を払うと、気障な挨拶を残して颯爽と去っていった。
(………………何だったんだろ、あれ)
その冒険者を不思議なものを見るような目で見ながらリズは空いた場所に移動した。
「それでだけれど、ギルドとして冒険者の個人情報は開示できないわ」
「…………へっ?」
そのリズに出し抜けにミネロヴァが切り出した。
「そうだったんですか!」
その事実を全く知らなかったリズはただ驚きに目を見開くばかりだった。
「やっぱり知らなかったのね。そんな気がしていたわ」
「うぅぅぅぅぅ…………それは何でなんですか?もしかして、私が嫌いで嘘を言っているわけではないんですよね?」
怨みがましい眼差しをミネロヴァに向けながら僻んだ質問をした。
「違うに決まっているでしょう?ギルドが個人情報を横流ししているなんて、それだけでギルドが潰れ兼ねないことなのよ」
と、言って、ミネロヴァは言葉を続ける。
「と言いながら、もしかしたら、口を滑らせることがあるかもしれないわね」
ミネロヴァは視線をリズから離して何気なさそうに口にした。
「えっ…………いいん――」
「だけれど、あなたがそのままなら、私は絶対に口を滑らせないでしょうね」
リズの言葉を遮ってミネロヴァが言う。
その目は真っすぐリズの瞳を見据えられていた。
「………………」
その目に気圧され、さらに、ミネロヴァの言う『そのまま』の意味するところがわからず、リズは顔を硬直させて言葉を詰まらせる。
「今のあなたにデイドラの傍に立つ資格はないと言っているのよ」
そのリズにミネロヴァは目を見据えたまま、鋭く冷たい語調で言い放った。
「今の私…………弱すぎる…………とういうこと……だよね」
ミネロヴァの意味するところを理解してリズは元気をなくしたように落ち込む。
だが、そんな事実にリズはどこか自分でも薄々気付いていたようにも見えた。
「あなた、精霊――かそのハーフなんでしょう?」
「えっっ!!」
ミネロヴァは責めるような口調で言った。
落ち込んでいたリズはミネロヴァの言葉に思わず弾かれるように顔を上げて、ロビーの喧噪を塗り潰すほどの驚きの声を上げた。
「あら、どうしたのかしら、ゴキブリでもいたのかしら?」
そのリズに、冷淡な気配を跡形もなく消したミネロヴァは、先程まで実のない世間話をしていたかのような態度で言う。
「ゴキブリ程度どうってことないわよ。|あなたを痛いようにしないわよ《・・・・・・・・・・・・・
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