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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
リズ・ローランド
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 その時。

 「グフッ…………ティオナ、テメェッ!本気で蹴りやがっただろう」

 死んでいてもおかしくない攻撃に気を失っていたベートは再び意識を取り戻した。

 「もう、起き上がれるんだー、すごーい。これなら後何発かいけるね、ティオネ」
 「そうね。いい練習相手になるんじゃないかしら」
 「テッメェーラッ!!殴らせろっ!!」

 それを皮切りに応接間に普段通りの喧騒が満ちた。

 それを、リズはデイドラに会えるということからくる安心で心が温かくなるのを感じながら、そしてデイドラをきっと見つけだしてみせるという強い思いで胸を満たして、見ていた。


     ◆


 ここオラリオは巨大な面積を誇る長大な市壁に囲まれた円形の都市、そして世界の中で唯一ダンジョンを持つ都市、『迷宮都市』である。
 そのダンジョンはオラリオの中央に位置し、その上には蓋の役目を担っている頂上が見えないほどに高い白亜の摩天楼、『バベル』が(そび)えていて、ここから北、北東、東南、東、南、南西、西、北西の方位に大通りが伸びている。
 そして、北西の大通りに面している白い柱でできた万神殿(パンテオン)の『ギルド』の前に、リズの姿があった。

 「あんまり来たくなかったんだけどな〜」

 と、憂鬱そうに独り言ちてリズはギルドに入っていった。
 ギルドはダンジョンの運営管理は勿論のこと、冒険者やファミリアの管理もしていて、あらゆる情報が集まっているのだ。

 多種多様な種族が行き交う広いロビーを抜けて向かった先は受付。

 「あっ」
 「あら、やっぱり来たのね」

 そして、その受付にいたのは、ダークエルフのミネロヴァだった。

 「デイドラの情報でも聞きに来たんでしょう?こっちに来なさい」
 「えっ、でも」

 ミネロヴァは妖美な動きで手招きしたが、その彼女の前には、自分の自慢話をミネロヴァに語り聞かせているエルフの冒険者がいた。
 その冒険者は金の刺繍が目立つ白の戦闘服(バトルドレス)に金の装飾がちりばめられている軽装を身につけていて、

 「最後を決めたのは僕の目にも留まらぬ華麗な剣撃さっ!あの戦いはギリギリなものだったけど、フッ、僕が本気を出せば、瞬殺だったよっ」

 ミネロヴァが全く聞いていないことに気付かず、話し続けていた。
 その冒険者の姿には哀れみさえ催しそうになるが、

 「ねぇ、あなた、いつまでそんなくだらない話しをするつもりなのかしら?邪魔よ、消えなさい」

 ミネロヴァは容赦なく一言のもとに斬り捨てた。
 だが、自己陶酔に浸り、頬を緩ませていた冒険者はまるで堪えるような様子はなく、手の平で顔を覆うようにして考えるそぶりを見せると、

 「フッ、今朝(こんちょう)の君は
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