迷宮の楽園
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しいわね、これ。 何とかならないの?」
「リリア、無理っすよ。 こればかりは仕方ないっす」
「まぁ、これに助けられたこともあったから何とも言えねぇよな」
「……」コクリ
「夜に使ってくれれば、便利なんですけどね」
と、まぁスウィード以外の面々は別段驚いた様子もなく、その光に目を細目ながら会話を続けた。
【ゴールデン・フラッシュ】エイモンドさんが持つ魔法の二つのうちの一つだ。
効果は簡単。ただ金光を放つだけ。
だがしかし、この光、どうやらモンスターには目障りのようで、この魔法を使うと一斉にエイモンドさんに襲いかかってくるのだ。
つまり、ヘイトを集める魔法。
この魔法を使えるエイモンドさんは、モンスターに囲まれるとうちの回避盾として活躍してくれるのだ。
避けて避けて、そして斬る、突く。
それで怖くはないのかと思うかもしれないが、心配はない
【陶酔】という発展アビリティを持つそうだ。何でも、恐怖への耐性が付くらしく、モンスターの咆哮によって強制停止も起こさないらしい。
まぁ、つまり何が言いたいのかと言えば……
「……来ましたね」
「デッドリー・ホーネットか……」
通路の奥から現れたのは巨大な蜂のモンスター、デッドリー・ホーネット。
その数は十二匹。
「それじゃ、頼んだよ」
「はいはい、了解っと」
エイモンドさんの前に出て、【物干し竿】を袋から取り出すと、鞘から抜いて構える。
鍔のない、刀にしてはとてつもなく長い長刀。その長さは一・五Mを越える。
いつ見ても長いよな、というハーチェスさんの言葉を背後に、俺は駆け出した。
狙うのは先頭を飛翔する一匹。肩に峰を乗っけた状態で走り出し、それを袈裟斬りに。
続く二匹目を返す刀で振り上げて真っ二つにし、三匹目を突きで仕留める。
ここまで、実に二秒。
残り九匹のうち、三匹が同じ高さで飛んでいたため、これを大薙で一気に斬る。
【物干し竿】の長さ故の所業である。
たった一人に、それもたったの数秒で半分の仲間を失ったデッドリー・ホーネットは俺を危険な敵と判断したのか、標的をエイモンドさんから俺に変えた。
だが、この間にもう二匹、【物干し竿】で繰り出した突きで仕留めた俺は残る四匹のうち、三匹に狙いを定めた。
半身の構えを取り、【物干し竿】の峰を地と水平になるように構えた。
「スウィード! よく見ておけよ!」
「え、あ、はいっ!」
ハーチェスさんが何かを叫んだが、よく聞こえない。
意識は三匹の蜂。
一度に三太刀。佐々木小次郎の秘剣。
「秘剣ーー燕返し」
動いたのは一瞬。しかも、刀を振ったのは一度だけ。
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