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駄目親父としっかり娘の珍道中
第77話 男のジェラシーは見苦しい
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 銀時が叫び、そして、引き抜いた。力いっぱい引き抜いたその腕には、鞘から解き放たれた銀色に輝く美しい刀身を持った刀が持たれていた。
 その気配を察知したのか、岡田の振るった紅桜はなのはの額すれすれでピタリと停止した。

「やっと抜いてくれたか。待ちくたびれたよ」
「あぁ、待たせたなぁ……それと―――」

 ゆっくりと、抜き放った腕をおろし、銀時は岡田を見た。その時の銀時の表情はとても険しい表情になっていた。

「てめぇ、よくも家の大事なガキを傷物にしやがったな」
「傷物? あぁ、どうやら刃が少し当たっちまったみたいだねぇ。額がちょっとだけ切れてるみたいだ」

 見れば、なのはの額が少しだけ切れており、其処から赤い血の滴が流れ落ちているのが見える。だが、その程度の傷なら大した傷じゃない。恐らく命に別状はないだろう。
 それでも、銀時の中の怒りは収まる事を知らなかった。

「知ってるか? 年頃の女にとって、顔は命の次に大事なんだぜ。それをてめぇ……よくも台無しにしてくれたな?」
「あぁ、こりゃ悪い事をしちまったねぇ。ま、それで嫁の貰い手がなくなったって言うんなら変わりに俺が貰ってやっても良いぜ?」
「ほざくのも大概にしやがれ。てめぇみてぇな人斬りにそいつをやる気はねぇ。さぁ、始めるとすっか。本気の喧嘩ってのをよぉ」
「何度も言ってるだろう? 喧嘩じゃなくて殺し合いだってさぁ!」

 互いに啖呵を切り合い、再度ぶつかりあった。今度は両者とも刃と刃のぶつかり合いであった。銀時の白夜と岡田の紅桜。互いが互いの得物を用いて、決着をつけるべく最後の激突を行うのであった。




     ***




 薄暗い通路内を木島と武智の二人は急ぎ足で走り抜けていた。その二人の表情は焦りの色すらうかがえる。
 まぁ、武智の場合は表情の変化が乏しいので実際焦っているのかどうかは怪しかったりする。

「また子すわぁん、急いだ方が良いですよぉん。あの岡田のあん畜生。どうやら相当頭に来ちゃってるみたいですからねぇ」
「そう言ってる武智先輩の方が遅いじゃないっすかぁ! もっと早く走って下さいっすよぉ! にしても、あの野郎……今度と言う今度は容赦しないっすよ。よりにもよって晋介様の大事な客人に手を出しやがって」
「やれやれ、前に釘を刺しておいたのですが、無駄になったみたいですねぇ。こりゃ一度痛い目に合わせないとダメっぽいですねぇ。あぁ、お腹痛い」

 走りながらもそう言った会話をしあう両者。この二人は知っているのだ。銀時が船内で激闘を繰り広げている間、外で何が起こっていたのかを―――

「いやぁ、驚きましたねぇ。まさかあそこまで強化された紅桜相手に真っ向から立ち向かえるなんて。これが異世界の力、魔法の力だと言うので
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