7部分:第七章
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第七章
「だから私はあの結論に至りました」
「人種分離政策は誤りだと」
「その様にですか」
「私は、我々はです」
即ちだ。最高裁判所自体が、もっと言えば過去に人種差別政策を先頭に立って主導した彼も含めだ。どうかというのだ。
「公の教育の場においてです」
今回の判決のその場においてだというのだ。
「分離すれども平等の原則は成立しないものと結論付けました」
「貴方も含めてですか」
「そうだと」
「はい、何故ならです」
その理由もだ。彼は述べたのだった。
「教育施設を分離させること自体が本質的に平等だからです」
「それは貴方のお考えでもありますね」
「はい」
その通りだとだ。ウォーレンは記者の一人の問いに答えた。
「その通りです」
「もう一度言います」
その記者は厳しい顔になり彼にまた言った。
「貴方は過去日系人を分離どころか強制収容所に隔離しています」
「そうですね。貴方の発言も残っています」
「サインをした書類も残っています」
それもあるというのだ。
「そしてです。貴方のその政策で多くの日系人の人権が侵害されました」
「彼等の財産は殆どが失われ疫病も流行りました」
「収容所にはプライベートもなく彼等には銃さえ向けられていました」
「全て貴方が為したことです」
「貴方はこれだけの人権侵害を過去に行いました」
「貴方は合衆国史上最悪の人権侵害政策を行いました」
ここでも糾弾だった。彼の過去は何があってもそうなるものだった。
記者達も容赦しない。それでウォーレン本人に言うのだった。
「その貴方がどうしてなのですか?」
「人種差別を否定されるのですか?」
「それを否定される判決も今回出されましたが」
「人種差別主義者の貴方が何故でしょうか」
「それは何故なのですか?」
こうだ。記者達はウォーレンに問うたのだった。彼を取り囲み。
これまでの構図だった。その彼等にだ。彼は言ったのだった。
「私の過去は事実です」
「そうですね。紛れもなくです」
「貴方が日系人を差別したことはです」
「その結果命を落とした日系人がいたこともです」
「貴方は日系人への蛮行も見て見ぬふりもしました」
「そして先頭に立ち彼等を人種だけで迫害しました」
糾弾は続く。今もだ。
「その貴方がどうしてこの判決を出したのはわからないのです」
「私達にはです」
「私の過去は私が最もよく知っています」
ウォーレンは俯きだ。述べたのだった。
「この私自身が」
「そのことは否定しませんね」
「嘘は申し上げませんね」
「事実は否定できません」
これがウォーレンの返答だった。
「そしてです。私は過去の私を間違っていたと考えています」
「貴方の過去はですか」
「間違ってい
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