2.ダテ男は伊達じゃない
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より甘えられる方が好きでね。いつかは女神ヘスティアが俺に甘えてくれるように精進するとしよう!」
「………キミってやつは自分の主神まで口説こうとするなんて前代未聞だよ!まったく、こっちからしたらキミなんてまだまだ子供なのにぃ……」
「はっはっはっ!!年齢差は愛を阻む絶対の障壁たりえない!!」
今日もキザっぽくバッチリ笑顔を決めているリングアベル。
とてもいい笑顔だと思うが、内容が内容なだけにこの女たらしめ、としか思わなくなってきた自分がいる。こちらは家族的ファミリアとして接しているつもりなのだが、彼はいつまでたってもこちらを女性として見ることを止めようとしなかった。そのことが頭痛の種で………まぁ、ちょっと嬉しくもあるのだが。
「調子がいいんだから……そんなに女の子を口説きたいなら『豊饒の女主人』のミアさんでも口説いてみたらどうだい?」
町の酒場『豊饒の女主人』の女将、ミア・グランドは肝っ玉母さんとして知られる元一流冒険家のドワーフだ。そのドワーフとは思えないほど大きな体躯と持ち前の迫力に加え、神でさえ対等に扱う器の大きな女性である。
無論、彼女を口説いた男など聞いたことがない。というか口説いた先から首の骨をへし折られそうだ。これにはさすがのリングアベルも閉口するだろう。
と、思ったが。
「ああ、ミス・ミアならばもう声をかけたぞ?」
ずがっしゃーん!と音を立ててヘスティアは椅子から転げ落ちた。
「本気で口説いていたのかい!!節操なしのプレイボーイにも程があるでしょ!?あらゆる方向で冒険しすぎだよっ!!」
「面白いと言う評価は受けたが、生憎俺はマダムの好みではなかったらしい。いや、あの豪快さもまた女性としては魅力的だな!」
「………どこまで本気なの?」
「俺はいつだって本気だよ。遊びで女性に付き合うなんて相手に失礼だと思わないか?」
「あぁぁぁぁぁ、もう本当にこの子はぁぁぁ………」
ところ構わず相手も選ばず口説きまくっているこのルーキーの存在は、既に町で噂になっている。ヘスティア・ファミリアに変な女たらしがやってきたという面白半分の理由で。それでいて本人は常にこの調子なのだから、もう「これがリングアベルという男だ」と思うしかないのだ。
――これで既に心に決めた女性がいるというのだから、本当に困った子だ。
ヘスティアは心の底で、これから彼に出会うだろう「イデア」という少女に小さく同情した。
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