2.ダテ男は伊達じゃない
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うじゃ未熟者の証だ。涙は嬉し涙に限るよな!」
別に慢心している訳ではないのに、発言内容を聞いていると油断してそうに聞こえてくる。これもある意味リングアベルが平常運転である証なのかもしれない。
今日の成果に驚き自分を褒め称える女性陣を勝手に想像しながら、リングアベルは上機嫌に上層へ戻っていった。
が、嬉々として報告したところ、女神さまの反応は芳しくなかった。
「リングアベール………いや、確かに嬉しいんだよ?キミが働き者だというのもよく分かるし、キミの登場で我がファミリアはじゃが丸くん以外の夕食を得るという空前絶後の好景気状態だ。だけどね………12層まで潜ったってどういうことだい!?危ないから深い層に行き過ぎないようにってあれほど口を酸っぱくして言った筈だよね!?」
「あぁ……その、心配させてしまっただろうか?」
「するに決まってるだろう!キミはボクの唯一のファミリアなんだよ!?言うならば家族だよ!?これで心配しない訳がないだろう!!」
ヘスティアの声色からすると、かなり本気で心配させたようだった。言葉の選び方を間違えたな、とリングアベルは自分が失敗したことを自覚した。どうも予想以上に子ども扱いされているようだが、事実彼女からすると自分などガキも良い所だろう。何せ神なのだし。マナー違反なので年齢も聞いてはいない。
「しかしなぁ、ちょっと大袈裟すぎやしないか?あそこの魔物程度なら俺にだって対処できた。それに、これでも念のために早めに引き返したんだぞ?そう、キミのために!」
「ボクの為を想うんなら3層くらいで我慢しておいてよ!キミは『冒険者は冒険してはいけない』という名言をもう忘れてしまったのかい!?安全第一なんだよ、ここは!!」
「むぅ………気難しい女神さまだ。どうも俺にはその辺の勝手がわからないみたいだな……」
怪我ひとつなく帰って来たのにと少々不満はあるが、この冒険者という職種は想像以上に死人が多いようだ。そんな彼女から見れば、リングアベルは危険な場所で遊ぶ子供くらいには危なっかしい存在らしい。
(女の子を泣かせるようじゃ未熟者の証……か。これからはもう少し自重する必要があるな)
女性の為なら自分を曲げることくらい訳はない。
リングアベルはそういう男だった。
= =
自分がどれほど危険な事をやっていたのかを全く自覚していないファミリアに溜息をつきつつも、ヘスティアは目の前の青年の能力の高さに少し驚いていた。ステイタスが、ではなく魔物相手に怪我ひとつなく戻ってきたことにだ。
前から薄々感付いてはいたが、やはりリングアベルの身体には明らかに魔物との戦い方が染みついているようだった。記憶を無くしても肉体はその動きを覚えている、という話はよく聞く。
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