想いが形を成すまで・・・
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、それ故に周りが見えなくなるときがある。今回のGGOでもそうだ・・・」
影を落としたその顔はどこか悲しそうな顔をしていた。
「大胆なのに繊細、強靭であるにも関わらず壊れやすい。他者のためなら己を賭ける。彼はそういう男さ・・・」
「・・・・・」
「でも、だからこそ、彼が己を賭しているからこそ周りはそれに引かれ、ついていくんだ。例えどんなに格上の敵が相手だとしても・・・」
SAOの時から彼の姿を見てきたシュタイナーにとって、シオンという人物はそのように映っていた。それはシノンも同様だった。
「そんな彼の背中を君は守る覚悟があるかい?」
シノンは少しの間をおいて力のある声音で答えた。
「当然よ。もう、守られる側なんてごめんだわ。これからは、“守る側”になる!」
その力の宿った水色の瞳を見てシュタイナーは何かを感じ取った。
『いい目をしてる・・・。この目、どっかの誰かさんにそっくりだ・・・』
「OK、君の想いは伝わった。お礼に面白いもの見せてあげる!」
「面白いもの?」
そう言いシュタイナーはシノンをシオンのいる辺りまで下がらせた。シュタイナーは集中するかのように右腕の力を完全に抜いた。その姿を見ながらシオンは言った。
「シノン、よく見ておけ。あれがALO最強の拳だ」
「・・・・・」
二人が見つめる中、シュタイナーは精神を研ぎ澄ましていた。頬を撫でる穏やかな風、自分の鼓動が聞こえてきそうな状態。全神経を徐々に右手へと集中させていく。
「覇王槍拳流・・・」
次の瞬間、シュタイナーの右手に力が入った直後、眩い緑色の閃光が放たれる。
「聖槍!《ロンギヌスブラスト》!!」
拳から放たれた緑の閃光はレーザーのごとく空を走り、上空に浮かぶ浮き島を貫いた。浮き島は貫かれた箇所を中心にひび割れ、崩壊した。
「ッ!!スゴい・・・」
「いつ見てもスゴいな、あんなの喰らったらと思うとゾッとするね・・・」
「これが覇王槍拳流奥義、《聖槍》。全神経を一転集中して開放する。大量の魔力消費と溜めの時間、次弾までの時間が欠点だけどね」
シュタイナーはそう言いながらシオンたちのいるところまで昇ってきた。
「コイツは格闘戦ならどのプレイヤーよりも強い、そりゃもう数が相手でもな」
シノンはその言葉に唖然とした。彼が頼むほどなのだからそれなりに実力のある者であることは理解していたが、まさか自分の目の前にいる人物がALO最強の格闘家だなんて思いもしなかっただろう。
「僕にはコレしかないけど、極めればそれは大きな武器になる。君にもあるはずだ、自分だけの武器が・・・」
「私だけの、武器・・・」
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