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第四章

「名誉を剥奪され命さえ落とした」
「醜悪な人種差別主義者である君によってだ」
「そうなったのだからな」
「だからだ」
 それ故にだとだ。彼等はウォーレンに冷たく告げた。
「私達は誰も認めない」
「君の発言は全て監視しその都度マスコミに報告する」
「無論大統領にもだ」
「君の行うことには何があっても反対する」
「君の味方は誰もいない」
「我々は人種差別主義者ではないからね」
 だからだ。ウォーレンに敵対するというのだ。
「君は間違いなく合衆国史上最低最悪の最高裁判事となる」
「その君の為す醜悪な蛮行を断じて止める」
「黒人、君が間違いなくこれから迫害する彼等の為だ」
「私達はまず君と戦う」
「そして彼等の人権を護る」
「人種差別主義者の君とね」
 こう告げてだ。彼等は一斉にその場を後にした。会議室には一人項垂れてだ。ナチスの制服とハーケンクロイツ、そして合衆国における人種差別主義者の何よりの証であるクランの覆面を前にして俯いているウォーレンだけが残った。
 最高裁の人間は誰もだ。ウォーレンを信じなかった。彼等も口々に言うのだった。
「あいつが最高裁判事か。嘘だと思いたい」
「今度はどんな人種差別に貢献するんだ」
「あいつは絶対に黒人を迫害する」
「そうしない筈がない」
 こう口々に言うのだった。
「カルフォルニア州知事時代を見ろ」
「あいつはあそこまでやったんだぞ」
「それで何で最高裁判事なんだ」
「あいつの言うことはボイコットする」
「人種差別主義者の最高裁長官なぞ悪いジョークだ」
「我々はまずあいつと戦う」
「合衆国史上最低最悪の人種差別主義者とだ」
 最早だ。ウォーレンと最高裁、彼が長官であるその場所との戦いになっていた。しかもだ。 
 マスコミも知識人達もだ。一斉にウォーレンを攻撃した。
「クランが黒人を守る筈がない!」
「日系人の全てを奪い今度は黒人の全てを奪う!」
「あいつは自分は豪邸に住み日系人を粗末な収容所に放り込んだ!」
「法律の根拠なしに無実の者達を断罪し弾圧した最高裁長官誕生!」
「合衆国は今その歴史上最大の敵を中に見た!」
 誰もがだ。ウォーレンを信じなかった。
 それどころかだ。殆どの者が彼を攻撃した。それはまさにだ。合衆国の良識、彼等が確信しているそれがだ、ウォーレンに牙を剥いた形だった。
 それでだ。ウォーレンにだ。今度はだ。
 ここでもクランの白い覆面も送られた。手紙もあった。そこにはこう書かれていた。
「御前の判決が出た時に御前は合衆国の正義に裁かれる!」
 こうした有様だった。それでだ。
 観かねた大統領の側近達がだ。アイゼンハワーに言うのだった。
「大統領、どう見てもです」
「ウォーレンでは無理です」
「あの男は
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