第三章
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「今日の十二時か」
「夜の十二時だな」
「その時間にまたメンインブラックが出て来て」
「そしてスカイツリーを消すのか」
「今はいないけれど」
「それでも」
メンインブラックは出て来るというのです。
「何とかしないと」
「十二時に出て来た時に倒そう」
「本当に」
ニュースも新聞もネットも何処も話題はメンインブラックのことばかりです、掲示板を見てもその話題で持ちきりです。
自衛隊や警察の人達もです、誰もが。
スカイツリーを十重二十重で囲んでなのでした。
強張った顔で十二時を待っています、そのスカイツリーを見上げて。
そうしつつです、完全武装の機動隊の巡査さんが巡査部長の中年の人に尋ねました。
「あの、部長」
「メンインブラックのことか」
「はい、十二時にですよね」
「出て来ると言っている」
「その時までは、ですか」
「俺達は何も出来ない」
とてもというのです。
「奴が出て来るまではな」
「本当にそうですよね」
「相手がいてこそだ」
部長さんは苦い顔で言うのでした。
「逮捕も出来れば」
「撃つこともですね」
「出来るんだがな」
「肝心の相手が出て来ないと」
「どうしようもない、だから今はな」
「今は?」
「緊張し過ぎるな」
これが部長さんの言葉です。
「いいな、肝心の十二時に何も出来なくなるぞ」
「疲れてですね」
「そうだ、だから今はな」
「休むべきですか」
「そうだ、休め」
こう巡査さんに言います。
「いいな」
「そうすべきですか」
「警戒はしていてもな」
緊張し過ぎずにというのです。
「落ち着いて飯を食ってな」
「栄養も補給してですか」
「ゆっくりともしろ」
「じゃあ寝てもですか」
「交代で休んでいる間にな」
その時にというのです。
「寝ることもいい」
「食事と睡眠も必要ですか」
「十二時が勝負だ」
まさにその時がというのです。
「だから今はな」
「休んでそして」
「十二時に挑むんだ」
「そのメンインブラックが出た時に」
「働くぞ、俺もな」
「部長もですか」
「腹一杯食ってな」
そしてというのでした、部長さんも。
「寝る」
「休憩の間に」
「そうして十二時になればな」
「勝負を挑まれるんですね」
「そうするからな」
こう言ってでした、実際にです。
部長さんはお握りやパン等の配られた食べものをあえて必死にお腹一杯に食べてでした。そのうえで、です。
お茶も飲んで寝ました、それを見てです。
巡査さんもそうしました、見れば警官の人も自衛隊の人もです。
皆です、十二時に向けて英気を養ってもいました。緊張の中で。その様子を官邸のテレビの実況で観てでした。
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