第三章
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「丁渡いい具合に一着作ったんだよ」
「そうだったんだ」
「そう、この服でどうだい?」
「いいデザインだね」
ピーターはその上着を見て言うのでした。
「しかも新しいし」
「気に入ったみたいだね」
「うん、凄くいい服だよ」
ピーターはおばさんに上機嫌で答えました。
「とてもね」
「よし、気に入ってくれたんならね」
「お母さん、この服にしていい?」
ピーターはお母さんにも尋ねました。
「そうして」
「いいわよ、貴方が気に入ったのならね」
「それじゃあね」
「ええ、ただね」
服は決まりました、ですが。
お母さんは難しいお顔になってです、おばさんにこう言うのでした。
「ただね」
「元の上着だね」
「どうしたものかしら」
「もう着られないよ」
おばさんはお母さんにこのことをはっきりと答えました。
「破れてるだけじゃなくてね」
「もう古くて」
「随分着たんだね、本当に」
「そういえばね」
言われてみればです、お母さんにしてみても思うのでした。
「この子この上着相当着ていたわ」
「そうだろうね」
「だからなのね」
「もうね」
それこそというのです。
「着られないよ」
「そうなのね」
「捨てるかい?」
おばさんはお母さんにこう尋ねました。
「もう」
「それじゃあ勿体無いかしら」
お母さんは首を右に傾げさせておばさんに答えました。
「ただ捨てたら」
「けれどもう着られないよ」
「それでもね」
「まだ何とかしたいんだね」
「どうしたものかしら」
「じゃあ雑巾にしてみるかい?」
ここでおばさんはお母さんにこう提案しました。
「この服を」
「雑巾に」
「そうしてみたらどうかい?」
「あっ、いいわね」
言われてみればでした、お母さんも頷きます。
「それも」
「そうだよね、じゃあ早速ね」
「今からなの」
「この上着を雑巾にするね」
こうお母さんに言うのでした。
「今から」
「いいの?だってお金は」
「ああ、サービスだよ」
上着のお金は関係ないというのです。
「だから気にしなくていいよ」
「そうなのね」
「そう、じゃあいいね」
「その上着を」
「これから雑巾にするね」
こうお母さん兎に言うのでした。
「それじゃあね」
「お願いするわ」
お母さんもそれならと応えてです、そのうえで。
そのお身体からです、早速。
針を取ってでした、すぐに。
まち針や糸針に使ってです、鋏と糸も出して。
早速上着をばらして雑巾の形にしてでした、何枚かの雑巾にしてしまいました。その雑巾を持って来てなのでした。
そしてです、お母さんにその雑巾達を渡して言いました。
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