第二章
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お母さんはピーターを連れてお家を出ました、木の下に掘った深くて長い穴のお家の玄関からお顔を出してです。
きょろきょろと周りを見回してからです、ピーターに言いました。
「大丈夫よ」
「マクレガーさんいないんだね」
「ええ、いないわ」
そうだというのです。
「狐も蛇もね」
「烏も?」
「ええ、いないわ」
怖い鳥もというのです。
「大丈夫よ」
「そうなんだ、それじゃあ」
「行きましょう」
こうピーターに言うのでした。
「裏道を通ってね」
「マクレガーさんの知らない道をだね」
「あの人ここ暫くこの辺りをお散歩するから」
「何でかな」
「何でかって?」
「いや、ちょっとね」
「ちょっとよね」
「うん、少しね」
こう言うのでした。
「あの人奥さんと喧嘩して」
「それで最近機嫌が悪いんだ」
「そうなの、それであの人のストレス解消の方法がね」
「お散歩でなんだ」
「この辺りも歩いているのよ」
「お家の近くを歩いていればいいのに」
ピーターはしみじみとして言いました。
「そうしないんだね」
「あの人の気分次第だから」
何処を歩くかということはというのです。
「だから私達が言ってもね」
「仕方ないんだ」
「諦めるしかないわ」
そうしたことはというのです。
「もうね」
「そうなんだね」
「じゃあ行きましょう」
お母さんはピーターにあらためて言いました。
「これからね」
「うん、それじゃあね」
ピーターも応えてです、そのうえで。
親子で裏道を通ってでした、ティギーおばさんのお家まで行きました。そしてそのお家まで来てなのでした。
お母さんはピーターのその上着を針鼠であるおばさんにお見せしてです、そのうえでおばさんに対して尋ねました。
「どうかしら」
「ああ、この服はね」
おばさんは丸眼鏡をかけてその服を見ながら答えました。
「もうね」
「駄目なのね」
「仕立てなおしてもね」
そうしてもというのです。
「着られないよ」
「そうなのね」
「ええ、だからもうこの服はね」
「どうすればいいかしら」
「服としては使えないわ」
つまり着られないというのです。
「とてもね」
「じゃあ新しい上着を」
「色は何がいいんだい?」
おばさんは今度はピーターに尋ねました。
「それで」
「うん、青だよ」
その色にするというのです。
「その色にしてね」
「わかったよ、青の上着だね」
「あるの?」
「これでどうだい?」
おばさんはピーターに応えてです、そうして。
一着の青い上着を出してきました、おばさんはその上着を見せながら言うのでした。
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