六十一話:デートは楽しくな
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
言葉は思いつかなかった。
静かに黒歌の瞳を見つめて返事を待つ。
本当はもっと後にプロポーズする予定だった。でも、後悔を残したくないから今日にしたんだ。
俺の寿命はヴィクトルと同じなら残り十年位で、下手すればビズリーに殺されて数日後には死ぬかもしれない。
それでも、明るい未来の為に歩いて行きたいから道標を作りたいんだ。
「……うん。私も愛してる」
黒歌の言葉にホッと安堵の息を吐いてしまう。
それから指輪を黒歌の左手の薬指にはめる。
黒歌はどこか現実味がないような顔をしながら指輪を眺める。
「ずっと憧れてたの……こうやって大好きな人にプロポーズして貰うのを。でも、私には無理だと思ってた。白音を不幸にしてしまった私が幸せになるなんて出来ない……そう思ってた」
「ああ……」
「でも、ルドガーが私の夢を叶えてくれた……。
こんな私を―――愛してくれて……ありがとう」
黒歌が俺の胸の中に飛び込んでくる。俺はそれを受け止めて力強く抱きしめる。
でも、それだけじゃ足りない。黒歌が足りない。
―――愛したい。もっと愛したい。狂ってしまうほどに愛したい。
俺は今にも壊れそうな理性をなんとか保ちながら黒歌に問いかける。
「黒歌……君の全てが欲しい。俺に全てを捧げてくれないか?」
「言わなかったかにゃ? 私の全てはあなたの物。
それに私は既にあなただけのもの……未来永劫ね」
「ありがとう……俺も永遠に愛しているよ……黒歌」
俺は、はやる気持ちを抑える様に愛の言葉をささやいて口づけを彼女の額に落とす。
そして、黒歌を抱きかかえてベッドへと歩いて行くのだった。
今夜は俺の人生で一番の夜になるだろうな。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ