六十一話:デートは楽しくな
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顔を赤らめて俺の胸をペシペシと叩いてきながらそんなお仕置きを俺に言い渡す黒歌。
正直言ってお仕置きというよりもご褒美に近い内容に思わず笑ってしまうが甘んじてそれを受け入れる。
お姫様の言うことには従わないとな。
そのまま俺達は先程よりも強く手を握り合わせながら歩いていくのだった。
「ゲームセンターに来たのはいいけど何からするか……黒歌は何かやりたいのはあるか?」
「うーん……あっ! あれ可愛いにゃ!」
少し思案気に眉をひそめたかと思うと何かを見つけたのか声を上げて指差す黒歌。
一体何なのかと見てみるとそこにはクレーンゲームの景品として飾られている白猫のぬいぐるみがあった。
何となくルルに似てるな……まあ、黒歌のことだから小猫をイメージして可愛いって言ったんだろうけど。
「クレーンゲームか……それじゃあ、やってみるか」
黒歌に腕を引っ張られながらクレーンゲームの前まで行く。黒歌が嬉しそうにお金を入れて操作を始める。
真剣な目で獲物を狩るように白猫のぬいぐるみを見つめる本気度に驚くけどそんな顔も魅力的なので黙って見るだけにする。
UFOのアームが白猫をしっかりと掴む。が、スルリと白猫はアームから零れ落ちてしまう。
「ああ! 捕まえたと思ったのに! 絶対取らせないように出来てるにゃ、これは」
アームの力の無さに店側の陰謀を感じ取った黒歌が文句を言いながらもう一度チャレンジを試みる。俺はその間に冷静に分析を試みる。
白猫のぬいぐるみにはひもは付いていないが透明のタグは付いている。
他の景品を見てもひもが付いている物はほぼない。つまり、このクレーンゲームはひもを引っ掛けて取るという事は想定されていないという事だ。
次にアームの先の爪を見る。……ああ、予想通り爪の角度が強いな。
「にゃー! また失敗したにゃ。こうなったら数に物を言わせて―――」
「待ってくれ、黒歌。……ここは俺がやる」
「ル、ルドガー?」
「心配するな。このゲームは―――既に読み切った」
驚く黒歌と場所を代わり、神経を研ぎ澄ませてから硬貨を投入する。
ゆっくりと動き出すUFO。そのアームはプレイヤーをあざ笑うかのように握力がない。
だが、俺にとっては関係無い。どんなゲームにも攻略の道が存在する。そこを突くだけだ。
例え、それがどんなに険しい道だとしても。
「うそ……タグに爪を引っ掛けた?」
俺の完璧な操作技術に声を失う黒歌。俺はそんな黒歌の様子に満足感を感じながら白猫のぬいぐるみを穴の中に落とす。
今回の勝因は店側がひもを引っ掛けて取るという事は想定していなかったという点だ。
想定していた場合は爪の角度が弱くなるためにさっき使った方法は使えないが、今回
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