嫌いだった誕生日が好きになった日
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けにはいかんで、傷見せてみ」
もうほとんど塞がってるので見せろと言われても困るけど、大丈夫だという証明に傷があった方の手を見せる。
「? 切ったのはこっちの手やんな」
「…はい」
「「「・・・・・・・・」」」
気持ちはわかるけどそう怪訝な顔しないで欲しいなぁ…。できれば説明したくない。自分でもよくわかってないから。と、いう訳にもいかなそうに三人ともこちらを凝視している。やだなぁ…
「自分でもよくわからないんですけど・・・」
前置きにそう言ってこのヘンテコな体質のことを説明する。私の治癒力は、ちょっと常人離れしているのだ。切り傷も擦り傷もやたら治りが早い。別に病気にならないわけでもないし、傷つけばもちろん痛い。ただ、治りが早いだけ。この傷も多分、明日になれば完全に治ってると思う。
親族の生命を取り込んだのかもしれないと思うと、いい気分はしないし、ちょっとどころじゃない回復力のせいで、誤魔化すために怪我してるフリしたりと、あんまりいいことないんだよね。
「・・・確かに嬢ちゃんからは人間の気配しかせんな」
「血の味も人間のものだったしね」
一通り話すとなんだか随分くたびれた。誰かにこんな話をしたのは初めてだ。怪我をするたびに治ってもしばらくはガーゼや包帯でで隠したりしてたから。
「人間だけど丈夫で回復も早い」
「その上、血の味も極上だとくれば・・・」
ゆらりと二人が立ち上がり迫ってくる。
「「思う存分頂いても良さそうだね」」
「おいおい!!せっかくの客に何するつもりや!」
「邪魔する気なら相手になるよ」
庇ってくれるのは嬉しいけど、クナイを構えた少女も銃を構える青年も目が座ってる。どう見てもこんなちっこいオーナーでは勝負にならなさそうだ。
「嬢ちゃん、とりあえず逃げっ!」
そう言ってあたしを庇う姿は中々に正義の味方チックだ。巻き添えを食らって痛い思いするのは嫌なので、しかたなくお店の外に避難する。
お店の前の低い石段に座って、ジェイクに声をかける。
「諍いが始まっちゃったけどこういうことってよくあるの?」
「賑やかなのはお嫌いですかな?」
悠然とした問い返しに、なんとなくよくあることだということが分かる。
「嫌いじゃないよ。誕生日をに賑やかに過ごせるなんて初めてだし、ちょっと嬉しい‥‥かな」
しばらくがたがたと騒がしかったけど静かになったので、中を覗くとんごーは頭にクナイを突き刺してベソをかいている。最初から勝つと思ってなかったけど、なんか背中に哀愁が漂っていて少々哀れだ。
「もう入っても大丈夫?」
顔だけ出して聞いてみると、
「よろこべ!支払いが血液でできるようになったぞっ」
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