嫌いだった誕生日が好きになった日
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さんだろうとお構いなしの変態だからなっ!」
私の視線の先に気がついたのか、少女が少しバツが悪そうにしながら言う。
そう言う少女の耳のあたりにある蝙蝠の翼のようなものが言葉に合わせて器用に動く。下がったり閉じたり開いたり、少女の表情も豊かだけど、それ以上雄弁に感情を表している。
面白くなってつついてみると、
「ぴゃあっ!!」
と素っ頓狂な声を上げたので、彼女の一部、しかも敏感な器官だとわかった。
「ごめんなさい。珍しかったのでつい触ってしまいました」
そんなに驚かれるとは思ってなかったので、頭を下げて謝ると、
「・・・次から触らないでくれるならそれでいいよ。いいからそいつには気をつけろよ!!」
珍しがられること自体には慣れているようで、少しぶっきらぼうに突然触られたことは許してくれたけど、青年に対する態度は頑なだった。
曖昧な笑顔で誤魔化して水の入ったグラスを持ち上げたら、
パリン
手の中で割れてしまった。
「うわっ!」
「あわわっ すんまへん!おい、ホウキとチリトリ取ってこいっ。ワイは救急箱持ってくる」
食器に限らず、古いものは経年劣化で、ある時ちょっとしたきっかけで壊れることがある。
誰が悪いわけでもないから、謝られるようなことではないけど、ザックリいったらしく指から血が出てきた。
「こ、れは・・・・・」
向かいにいた青年がなにか呟くと水と血に濡れる手を持ち上げた。どこか熱に浮かされたような目は青いはずなのに赤い色が時々見え隠れして、色の変わる瞳に見蕩れていると何か引き寄せられるように手へと口元を寄せる。
手を這う舌が血を舐めとるごとに熱を帯びてゆく。口元から覗く発達しすぎた犬歯とその行動からようやく彼が何者か理解した。
ぴちゃ…ちゅっ……れ…
流れる血に舌を這わす顔から目が離せない。
「……んっ………こんな血は……………………初めてだ」
流れた血を舐め尽くし、青年が傷口に吸い付く。
「っ!」
痛みに思わず顔をしかめると、
「客に手を出すなってゆうたやろがぁぁあああっ!!」
大声で怒鳴りながら戻ってきたんごーが、ポンと跳ねてカウンターの上に着地すると、頭の上には器用に救急箱が乗っている。
「あの、気にしないでください。傷もたいしたことないし平気ですよ」
大丈夫だと手をパタパタ振ってみせる。そこに少女も戻ってきて、
「なんだ?またコイツが何かやらかしたのか?」
とか言いながらジト目で睨んでくる。
「えと、ほんと、たいしたことないから」
なんとか誤魔化そうとしてみるけど、んごーにまでズイっと迫られてしまう。
「そういうわ
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