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BloodTeaHOUSE
嫌いだった誕生日が好きになった日
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回ってきちゃったのかな。せめてもう少し説明してほしかったなぁ。お財布は持っていきましょうとか・・・
 なんて、ぐるぐるといろんなことが頭を駆け巡ってると、

「ふふ、そう警戒しないで。かわいいなぁ、そんな顔しちゃダメだよ?」

 人の悪そうな笑みを浮かべたお兄さんが私の顔を覗き込む。なんだか事情の説明をするような雰囲気じゃない感じだ。

「ほら、君から視線がそらせなくなる」
「ぁ、ぁの‥‥」

 するりと頬を撫でられて焦る。男の人の顔がこんなに近くにあるなんて初めてで、恥ずかしくて顔が赤く染まる。

「っだあぁああ!お前なにやってんだ!」

 奥から少女が勢いよく飛び出してきて。お姉さんの手の上のトレイに乗った紅茶も勢いよく飛んでいった。
ガシャーンパリーンッなんて見事見砕けた。

「何って、退屈そうなお客様の話し相手さ、ね?」

 片目をつむって私を見ながら笑いかけるけど、ね?って言われても困る。潔く天寿を全うしたカップとソーサーに心の中で合唱していると

「その色目をやめろ、この変態!」

 カウンターをドンッと叩くと少女はお兄さんにビシッと指をさす。お兄さんは「変態」なんて言われたのに柳に風とばかりに受け流し、

「色欲は生物に必要なものだよ」
 なんてにっこり笑って、さらにお姉さんを挑発し始める。

「アタシには少なくともお前は不要だ!」

 お姉さんはどこからともなく2本の包丁を取り出して構える。

「店内で暴力はいけないな。どうしても、というなら応戦するけど」

 お兄さんはちょっと怖い笑顔で、なんと銃を取り出した!えぇ―――――っ!どうなるのこれっ!?わたしの安全大丈夫? と焦っていると。

「ええ加減にせえ!お客はんの前やぞ!」

 それまでカウンターの上の変わったぬいぐるみだと思っていた青い物体が大声を上げたので、びっくりして椅子から落ちそうになる。ぐらついた体をすんでのところでお兄さんが受け止めてくれた。
あれ?いつの間にカウンターから出てきたんだろう??

「あの、えっと、あなたも店員さん?」

おそるおそる青い物体に聞いてみる。

「ワイか?ワイは小粋で素敵なこの店のオーナー、んごーやで!」

 句読点の場所間違えてませんか?小粋で素敵なという言葉は店に対する形容詞なのですよね?それよりあの割れた食器、放っておいていいんですか?
またもやぐるぐると混乱しかける私は、視線を泳がせて砕けたカップとソーサーを眺めてしまう。
思わず現実逃避したくなるくらい、あれこれいろいろわけわかんないんだもの、し、仕方ないよね?

「あー・・・悪い。入れ直してくるから水でも飲んでおいてくれ。
 それから、そいつには気をつけろよ?男だろうと子供だろうとじー
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