嫌いだった誕生日が好きになった日
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の中を見せてもらえないかな? あ、お金、持ってきてないから買い物はできないけど……」
うん、お財布持ってないから欲しい物があっても買えないんだよね。
「では、一名様ご案内いたします」
その言葉とともに音もなく扉が開いた。
店内は幾つか置かれているランプのみで、薄暗くて少し不気味だ。石造りの壁には暖炉があるけど今は使われてない。外観より随分狭く感じるのは、カウンターの酒瓶が並んだ棚より奥が、キッチンとかに使われているんだろう。
骨董品と呼んで差し支えがなさそうなレジスター、飴色に変色したテーブルと椅子。喫茶店なのかな?バーかも知れない。
いつか雑誌で見たことがあるような洋風の内装は店主の趣味だとしたらいいセンスしてるけど、どうしよう……
これはお金持ってないとまずいかも知れない・・・
「お?おぉおおっ?? おーい!客っ客だぞっ!!」
店内を掃除でもしていたのかモップを持った少女が振り返って私に気がつくと大声をあげた。
その声を聞きつけたのか奥からもう一人出てきた。でてきたのは金髪碧眼の青年で、ちょっとびっくりするくらいの美形だ。
「イラッシャイマセ!!お客様、お席にどうぞっ!」
人懐こい笑顔をで発せられは言葉は、ほんの少しだけ外国の訛りを感じる。
ともかく、お金がないからなんとか言い訳しようとまごまごしているうちに、カウンターの席へ案内されてしまった。
「あの〜」
「紅茶ですか?コーヒーですか?」
なんとか持ち合わせがないことを説明しようとする言葉を遮って、いきなり2択を迫られる。せめてメニューを渡されたら説明も出来るのに・・・
「えっと」
「紅茶ですね!少々お待ちください」
頼んでない!頼んでないよお姉さんっ!!
お姉さんは注文を受けるとペコリとお辞儀して奥に引っ込んでしまったので、どうしようか…と
カウンターを見るとの向こう側にいるお兄さんと目が合った。
「やあ、初めて見る顔だね」
やわらかく言われてちょっとホッとする。
この人になら話が通じそうだ。日本語すごく上手だし、ちゃんと説明して許してもらわないと。
「おや、君、そのペンダント・・・・・」
お兄さんの目がペンダントにとまる。そして顔を近づけて匂いを嗅がれる。
汗臭く、は、ないと思う。お風呂には入ったし。なんてちょっともじもじしてると、
「やはりそうだ、人間だね」
ということはあなたは人間ではないんですか?あやかしとか幽霊とかそんな感じの存在だったりするんでしょうか。人間の私は頭から食べられちゃったりするのかな。それもこれもみんなこのペンダントのせいだよね?これをつけたとたんにこんなところに来ちゃったんだし。毎年誕生日はお葬式だったから、私の順番がついに
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