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ながら、見慣れた光景にふと口元が緩む。揚げ物をつまみながらぼんやりと味わってみる。美味くねぇわけじゃないが、やはりマヨネーズがないと一味足りない気がする。
「どした〜?」
酒を注ぎながら銀時が聞いてきたが、今さらマヨネーズがほしいとも言えないわけで、
「何でもねぇよ」
と注がれた酒をクイッと飲み干す。
「ふーん・・・」
しばらくは一人で飲んでいたはずだが、銀時が2個目のパフェに取り掛かりだした辺りだろうか。カチャカチャとパフェをつつく合間に、手酌でヤツが酒を飲みだしたのでさすがにムッとした。
「おい、俺はマヨ取り上げられてるってぇのになんでテメーだけ好物と一緒に酒飲んでんだ?あぁ?」
胸倉につかみかかりかけたその時―――
◇ ◇ ◇ ◇
コンコン
「はいはいはーい」
すっ飛んでいった銀時に、またバイキングか?と、イラッとしながら目をやると
「じゃーん!」
にかっと笑う手には、土方のつまみのちょうど半分くらいに、小さく盛り合わせられたつまみと、徳用マヨネーズ。
「はいよ」
と手渡され思わず見上げる。
「ま、どっちにしろ副長さんの金なんだけど? 甘いモンにかけるんじゃないなら、銀さんとしては許せるわけだし? 嗜好は片寄ってっけど、まともな味覚もあるみたいだから安心しました。というわけで心置きなく堪能してくださぁ〜い。 で、こっちのは銀さん用ってことでマヨはぶっ掛けないでね?」
っぶちゅうううぅぅ
銀時がそう言うなり盛り合わせ(大)は薄黄色の海となった。
クイッと猪口をあおり少し斜めの視界で訊ねる。
「・・・なんで解禁にしたんだ?」
マヨまみれですでに何かわからなくなったものをパクリと咥えながら聞く。
「んー?土方くん甘いもの食べてるときちゃんと味わってる顔してたし?」
土方スペシャルのマヨの海からちょいっとかすめとって自分のつまみのアクセントにしながら答える。
「別に、銀さんもマヨネーズ自体が嫌いなわけじゃないし?土方くんがぁ、つまみ喰いながらぁ、ちょーっと物足りなさそうにしてんのとか見てたらぁ、銀さんだけ幸せってのはどうかなーっ、て思っただけですーー」
クイッと猪口を空けひっくり返して置く。立ち上がり銀時は風呂場へ向かった。
「そろそろ湯張っていーい?」
「おぅ」
風呂場へ向かうと土方がついてきた。
「温泉の素入れるとこが見てぇ」
勢いよく注がれる湯に適当な量の入浴剤を流し込むと蜂蜜色だったそれは白く変わり広がっていく。
「へぇ。にごり湯か。効きそうだな」
そうい言って部屋に戻ると、ふらりと元のソファになだれるように体を預けた。今日は銀時の方が、お土産準備のために明らかに酒量が少ない。
あ
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