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からに使いにくそうだな」
「実用性はこの際あんまり気にしないの」
「あぁ、そうそう。ほい」
ぱしっ。飛んできたものをつかむと蜂蜜瓶の小さいヤツだった。
「それが顔用ね。体用で顔洗うとひでぇめに会うらしいからそっちおいときな」
「はァ?顔専用?んなもん石鹸ひとつで両方いけんのになんでそんなもんが・・・?」
「ハイハイー、ここはそういうこと気にしちゃ負けな場所なのー。石鹸はないんだからあきらめなさい」
一通り教わり終えた頃ちょうどノックの音が聞こえた。
さすがに二度目ともなると、驚きもさほどではないと思っていたが、4台のワゴンは予想を裏切ってくれた。ワゴン自体が、先ほどとはまったく違う装飾を施されているのだ。しかも、
「・・・オイ。上に乗ってるモン。・・・もしかして全部さっきと違うやつか?」
「ん?うん。ちがうねぇ、全部」
「マジか?!いったい何種類常備してんだこの宿!」
「さぁー?でもこれが売りだから。気合入ってて当たり前じゃないの?」
こともなげに言う銀時に、もう何も言う気が失せ届いたつまみを掴んだ。
「ゥあちっ!揚げたてじゃねえのコレ!?どっから運んできやがんだよ一体」
確かに揚げ物からは挙げたてのパチパチという音がまだかすかに聞こえる。
「なんだかサービスに執念とか感じるちゃうねー。いやーすごいわほんと」
せっかくだから熱いうちにと土方はつまみを口へ放り込む。
「さて、さくさくやりましょうかね」
言うが早いか、銀時は持参してきた風呂敷を広げた。中から転がりでたのは空の密閉容器。そこへ先ほど到着したばかりの菓子を手際よく詰めていく。
「オイ。えらく手慣れてんな、しょっちゅう、こういうことやってんじゃねェだろうな」
「んなわけないでしょー。ここに神楽連れてきて宿がつぶれたら困るからやってんの。 普段は喰い放題ならたいてい一緒ですぅー。喰えりゃいいってヤツなんか連れてきても意味ない場所だし? とっておきの場所だからそうそう誰にでも教えられないわけよ」
そう言いながらも手は休めない。残す分に早くありつきたいのだ。
「だからあんなに教えるの渋ってたのか?」
万事屋のとっておきの場所・・・。
「まぁそれもあるけど?昨日見られてたしねー」
まぁ、女をじゃれ付かせながらきた場所でもあるわけだし、そう特別なわけ、ない。・・・だろうけど。
4分の3ほど詰め終えてから、おもむろに受話器を取り上げるとなにやら注文し、満足そうな顔で戻ってきた。ワゴンに残っているのは、保存に失敗すると腐りそうなものと、時間が経つと溶けてどうにもならなくなるものだけだ。
「さぁそれではいただきますかっ!」
パンっと手を合わせ、真っ先に手が伸びたのは、やはり好物らしくパフェだった。
「テメーはやっぱそれか」
向かいのソファに半分体を預け
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