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食べ放題だからってテメーどんだけ喰うつもりだ!しかも昨日も喰ったんだろ?!」
「いやいやいやいや!!こっちは土産がメインなの!神楽は銀さんの3倍以上は食べるし?新八の姉ちゃんは量より質だろうから、この辺りの新作に手が出せない。新作も まぁ、ちょこっとつまむだろうけどそんくらいよ?
ってか、昨日見てたのって、やっぱ俺のことだったのねー」
しまったと思っても、口から出た言葉は戻ってこない。言い訳しようにも言葉は出てこず、背中を向けてこんどは酒の香りのするケーキに手を出す。ナッツ類が入っているせいか少し香ばしく、酒の香りと混ざり複雑だがどこか素朴な味がした。結局、チョコレートケーキもそのままの流れで食べてしまい、皿は空になった。口直しのドリンクを飲んでると、
「もうちょい食べる?」
すいっと背中越しに皿を差し出されたので見てみると、2種類に減らしてある上に、どうやら馴染み深そうな味のものらしい。少し躊躇したがもう少しいけそうだったので、素直に受け取りスプーンを持つ。緑色のムースを掬って口に入れると、ほろ苦い抹茶の味がする。ふわりと溶け、風味と苦味と甘さがちょうどいい。最後のは白と黒のコントラストがきれいなモザイクゼリー。器から行儀悪くザラット口に滑らせると、コントラストどおりにコーヒーとミルクの味が混ざりながら消えていく。
「っそーさん」
そろそろ塩気が恋しくなってきたころあいだったので、ルームサービスメニューを眺める。
後ろでは一定のよどみない間隔で、咀嚼音と皿のカチャカチャ鳴る音。見ると4台ともほとんど残っていない。残っているのは土産用なのだろう。余ったドライアイスがそこに集められている。つまみの盛り合わせと酒を頼んだら、万事屋からバイキング2人分追加も頼まれた。テイストは”王道”だそうな。
◇ ◇ ◇ ◇
さほど届くまで時間がかからないようだが、今日は私服に着替えただけで風呂に入っていない。ついでだから入ってしまおうかと風呂場を覗くも、この部屋に入った時と同レベルの驚愕に慌てて銀時を呼んだ。
全面ジェリービーンズのタイルに、ドーナツを重ねた椅子。どう見ても蜂蜜の瓶にしか見えないものが4つ。シャワーはあるが、石鹸、手ぬぐいの類はない。掃除用にしてはかわいらし過ぎるペロペロキャンディ型のブラシが一本。勝手が違いすぎて何をどうするのか想像すらできない。
「ああそれな、体用、頭用1、頭用2、風呂用、の液体だよ」
「風呂用ってなぁなんだ?」
「温泉の素みたいなもん?体にいいとか疲れが取れるとかいうねぇ」
「でこっちのブラシは体を洗うときに使うもの。柔らかいタワシに柄をつけたようなかんじね。背中とかだと普通のタワシじゃ届きにくいやつもいるからね」
「なんか、見る
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